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演劇でご飯を食べることは無理ゲーで有る

 日本という国において日頃から演劇を観ている人がどれ程居るのだろうか?私はいつも疑問に思っている。声優に成りたい、ドラマに出たい、その気持ちが現実的に叶わないから誰でも出れる舞台に出ているのでは無いだろうか。舞台に出ている役者のどの程度が舞台を愛しているのだろうか?

 皆様の周りにも役者をやっている方、演劇関係者、劇団員という方がいらっしゃるのでは無いだろうか?そんな方々のことを思い出して欲しい、大抵貧乏だ。何を隠そう私も同じ穴の狢で有る。役者とは大抵、売れるまでバイトで生活を繋げている生き物だ。

 フリーで有ればバイト漬けの日々を送りオーディションに受かるまで受け続け、受かった場合に仕事が手に入る。しかし、やっと手に入れた仕事も小劇場で有れば交通費程度、舞台に出たと言う称号が残るだけで、余程の者で無い限り次に繋がらない、繋がったとしても、金にはならないのだ。新劇で有れば15ー20万程度、旅公演に繋がればステージ数✖️ギャランティが発生する、これで有れば生活が出来そうだ。しかし、新劇とは内輪で有る、閉鎖された界隈で有る、過去の栄光に縋り現実を見ることの出来ない者どもが現在も跋扈している。外部出演者のオーディションとなると、新劇団に限る事もある。なんなら、演出家が自分の劇団員を数名連れてくる事もある、そうなると企画した劇団の若手が大体押し出されるのだ。では商業演劇ならどうだろう、商業演劇で有れば動員する観客も桁違いに多い、そうなれば生活など安泰だ。しかしながら、商業に出れるフリーとは、事務所を飛び出して、それでも演技を買われている天才である。その様な人材大手の事務所が放置するわけがない、そうなると余程の変わり者以外、事務所に所属して大きな仕事をとりにいく者だ。結論、役者としてフリーでご飯を食べている人など果たして本当に存在するのだろうか?少なくとも、私は出会ったことがない。

 劇団員で有ればどうだろう?小劇場で有れば一度の出演で、ノルマを抱えることになる、決められた数チケットを売らなくてはならない。この厳しいノルマをクリアすることによって、交通費を手に入れることができるのだ。あえて言おう、カスであると。一体何の為に演劇をやっているのか全く分からない、以前小劇場から大きく飛躍した劇団が数多くあった、しかし一体今どれだけ残っていると言うのだ、そして舞台だけで劇団員を食わせている劇団などない。
 私が所属する新劇団で有れば如何だろう?私の所属する劇団は長山藍子さんと言う昭和を知る人なら名前を知る大スターがいたり、昔の翻訳物を見ると名前を見かける、小島敏彦さんが居たりする。新劇団で言えば、私の所属する弱小劇団でなく大手で言えば、文学座、俳優座、青年座、民藝、劇団四季、宝塚、などであろう。私が養成所を出た文学座、素晴らしい、実力さえあれば何と演劇だけで生活を送ることができる、それは役者もスタッフも、演出家もだ。四季もそうだ、確かにストレートプレイでは無いが、演劇に携わらない者で有れば劇団といえば四季か宝塚を想像するであろう、宝塚はいい噂を聞かないが、上述した三つの劇団で有れば前に何も付かない劇団員になることが出来ると、道が開ける。では他はどうか?小劇場とほぼ同じだ、東京公演なら普通の人で有れば捌けないノルマを抱え、罰符を払い交通費に毛が生えたギャラを貰う、本当に頭がおかしい。旅公演、広く知れた言い方で有れば「ツアー」ならば、食費も交通費もギャラも貰える。毎月旅公演に行けたらどれだけ幸せだろう?行けたらね。
 新劇団は、一度東京公演を行うのに1000万円から2000万円かける、そしてこれをトントンで終える劇団など先程上述した劇団ぐらいだろう、他の劇団は助成金で埋めようとし埋まらない分を赤字として抱える、もしその作品が旅公演に決まれば、赤字を埋めて、その残りでギャラを払う。なら、作品が旅公演に決まらなければ如何なるであろう?赤字が残るだけだ、数百万単位のね。
 旅公演とは日本全国各地に有る演劇鑑賞会と言う市民団体が主催して東京の劇団に公演依頼の様なものをくださるのだ。演目はコンペティションで決め、その年公演された物の中から数作品決める。決まった作品は一年から二年後に上演が決定される。数作品と言っても数は本当に少ない。そのかに残ろうとすると、それ相応の作品を作らなければいけない。そうなると、年間多くの作品を作らなければいけない、弱小劇団で有れば赤字を抱えながら。
 結果はこうだ、小さい劇団は年大小人作品づつ、大きい劇団は大小二つづつ作品を作るトントンか黒字で。
 私達の様な弱小劇団の劇団員は、如何お金を得ているのか?三パターンだ、昔の栄光で仕事が少し有る、役者でありながら裏方の仕事に全力を尽くしスタッフとしてお金を稼ぐ、バイト、この三つだ。
 ならば、この三つを十年続けてみよう結果は簡単だ、老人と実家が太い女性と新人だけが残るしょうもない劇団が出来上がる。中堅男性は裏方専門でお金を稼ぐか、就職する。中堅女性は結婚を期に辞めるか、就職する。

 長々と取り留めもなく駄文を書いたが、これは一人の演劇人としての魂の叫びだ。一体誰が日本で演劇を観ていると言うのだ、観ようと思えるのだろうか?良いものを作る体力があるとこなど片手で数えるくらいだろう。まあ、上述した物を除けば、金に物を言わせた商業演劇くらいだろう、有名なアイドル、イケメン俳優、有名声優なんでもござれ。脇を固める本物の役者のことを観客の何人が知っていると言うのだろう?アレが良い作品というなら、まあ、舞台とは...。まあ、それ以外で言うなら、ダウ90,000ですかね、心から嫉妬しています。


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