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フレンチトースト大作戦!のその後、そしてたまご。【チョコレートリリー寮の少年たち】改稿
放課後、デイルームに行くというみんなに、少しだけ遅れていくねと伝えて、僕は一人、109号室に向かった。邸宅のみんながとても心配でたまらなかったためだ。
ベッドの横にあるスツールに腰掛け、杖で家紋をえがく。
「エーリク坊ちゃん!!!!」
鳳がすっ飛んできた。フレンチトースト大作戦は、功を奏したようだ。
「申し訳ございません。エーリク坊ちゃん、今すぐ鳳をくびにして下さいませ、執事失格でございます」
「
トトとモルフォ、ゼロとシャウラ
ブルウの、ウェーブのかかった髪をふわふわゆらめかせながら、モルフォは城の隅から隅まで、次期レティクル座の王となるトトをさがしまわっていた。よみがえりの指を持つトトはこの星群の中でもいっとう特別な存在だ。
トトが行方をくらましたことで大騒ぎになっていることに気づかないまま、必死で執務に励んでいたゼロとシャウラから有益な情報を得て、モルフォは食堂へとやってきた。
「トト様!トト様!!……ああ!やはりこ
Happy Birthday!Samuel!
今日は僕たちグループの縁の下の力持ち、サミュエル先輩の誕生日。109号室がパーティー会場だ。僕と立夏はたくさん風船をふくらませて、壁いっぱいに貼り付けた。先輩の、グリーンの瞳と綺麗なプラチナブロンドをイメージして、緑と白をえらんだ。
「すてき!センスいいね、ふたりとも!おつかれさま!」
リヒトがバズーカみたいなクラッカーを手にして微笑んだ。
「タイミングが難しそうだな、クラッカー」
スピカが危惧し
さくらんぼ【ゼロとシャウラのものがたり】
ここは自殺者達がやってくる終の場所、レティクル座。ぼくは王子のゼロ。自殺者たちの罪の重さをはかり、裁く仕事をしている。
午後六の刻をむかえたので、城中に派手な鐘を鳴らす。するといつもの如く、ぴったりのタイミングでシャウラがやってきた。なんと、おおきなプリンアラモードをふたつ、トレイにのせている。ぼくは思わず椅子から立ち上がった。
「シャウラ!お疲れ様!なにごと?!そのすごいプリンアラモード」
「王
星集めの儀式、その後の打ち上げ【ゼロとシャウラのものがたり】改稿
さあ、われわれは部屋にかえりましょうとやさしくシャウラがいうので、うん!と満面の笑みを浮かべる。
「なにをのみますか?」
「ひさびさに、アイスブレイカーでものみたいなあ、テキーラサンライズも……のみたいのたくさんありすぎてこまる」
「王子、テキーラ好きですよね」
「だいすきだよ!手っ取り早く酔えるし美味しいし。でも、炭酸系は苦手。酔う前におなかいっぱいになっちゃうから」
「ではテキーラ中心になに
星集めの儀式【ゼロとシャウラのものがたり】
今晩、よみがえりの力を持つトトと自殺者の罪を量るぼくは、星集めの儀式を執り行う。いやだいやだとだだをこねていたら、シャウラがお昼に、とろとろたまごのデミグラスオムライスを作ってくれたので、すぐに機嫌がなおった。
「おいしすぎる。シャウラは天才だ」
「いえいえ、そうたいしたものでは……王子はほんとうに、おいしそうにごはんをたべますよね。スイーツもですが……作るわれわれも充たされますよ。なんて愛らしい
正しいこととは【ゼロとシャウラのものがたり】
「王子、おつかれさまです!」
執務を終えた瞬間に、シャウラが執務室に飛び込んできた。噂では、シャウラはぼくの仕事が終わる五分前に自らの執務を終え、扉の向こうでぼくが執務終了のベルを城中に鳴らすのを待っているのだそうだ。おとなしいケルベロスのような、可愛い人だと思う。
ここは、自殺者達が終の場所として訪れるレティクル座。ぼくは王子のゼロ。自殺者たちの罪の重さを量るのが仕事だ。
「シャウラもお疲れ様、
トトと、クッキー【ゼロとシャウラのものがたり】
自殺者達がやってくる、レティクル座にある城に住み、寝食を共にしているトト。
ぼくはトトが苦手だ。
まだちっちゃいけど流星集めの儀式はきちんとこなす。
ぼくよりずっと有能で「将来レティクル座の王さまになるのは僕だよ」などといっている。
確かにぼくはシャウラと遊んでばかりいるし、トトが王になればレティクル座も安泰だろう。
トトの青いフローライトの指は死んだ人間を生き返らせる能力がある。
「ぼくなんか自
地球に遊びに行くよ!【ゼロとシャウラのものがたり】
自殺者たちがやってくる星群、レティクル座の王子ゼロと側近シャウラのよもやま話。
皆さん、初めまして。
ぼくはレティクル座の王子のゼロ。どうぞよろしくね。
地球にはお忍びでよく遊びに行くよ。美しい惑星だと思う。
ペッパーハムとクリームチーズのベーグルとさくらんぼ、
パスタとお酒、キャラメルマキアートとキャラメルフラペチーノが大好物。
星屑を加工したミルク味のドロップスを一日中口に含んでいるんだ。
合唱コンクールその後、適性検査【チョコレートリリー寮の少年たち】
とりあえず、デイルームへ向かうことになって、僕達は大名行列のように歩いた。するとぐるぐると時空が歪むのを感じた。ミルヒシュトラーセ家の家紋が浮かび上がる。
「坊ちゃんー!!」
「坊ちゃん、お疲れ様です!!」
「やあやあやあやあ我が愛息子エーリク!!そして愛おしきチョコレートリリー寮の少年たち!!ばっちり合唱コンクール、眺めさせていただいたよ!すばらしいじゃないか!なぜ事前に呼んでくれなかったんだい
合唱コンクール本番【チョコレートリリー寮の少年たち】
遂に合唱コンクール当日だ。僕らは銀曜日のおとぎ話というタイトルの童謡を課題曲として練習を積んだ。とてもきらきらした美しい曲だ。自由曲もある。出番が二回もあるということで僕はなんだかどきどきしてしまって、親友たちに非常に心配された。
「エーリク、大丈夫?」
「う、うん、なんとか」
「大丈夫だよ、親友、沢山いるじゃないか、もし無理ってなったら、しかたがない。歌ってるふりしてもいいよ」
リヒトが笑いなが
合唱コンクール【チョコレートリリー寮の少年たち】
明日、いよいよ合唱コンクールが執り行われる。自他ともに音痴と認める僕は憂鬱でたまらなくて、スピカに泣きついた。
「もう嫌だよ、歌ってるふりだけでもいいかなあ」
「だめ、ちゃんと歌わないと。おれがしっかりタクトを振るから大丈夫」
「大丈夫じゃないんだってば!」
「ぼくが教えるよ、エーリク」
立夏が僕がぎゅっと抱きしめた。
「ぼく、歌くらいしか教えられることがないから。びしばしやるよ、いい?」
ピアノ
スピカの写真集⑤【チョコレートリリー寮の少年たち】
「すごいなこれは、完全にモデル撮影の機材じゃないか」
「触るなよノエル次触ったら追い出すからな」
「いいじゃん、ちょっとくらい」
「部費で落としたとはいえど、素人が触っていいものじゃない」
小鳥遊先輩が必死にカメラを庇っている。
「はいはい、じゃあ俺たちはちびっこたちと壁に張り付いてるよ、スピカ、頑張れ!」
背中をどんどん力強く叩いて激励して、ノエル先輩が壁の方へやってきた。
「スピカ!かっこいい
スピカの写真集④【チョコレートリリー寮の少年たち】
よく分からない理論を述べながら、セルジュ先輩が小鳥遊先輩に近づいて、杖でとんとん、おたまを叩いた。するとあっという間に自動的にうごくおたまになった。
「あとは勝手に駆動する。ぜひみんなで一緒にご飯を食べよう」
「セルジュ先輩、すごい!」
「天才ー!!」
天使たちが唱和する。立夏が憧れの眼差しをセルジュ先輩にむけて、にこにこと微笑んで拍手をした。ちょっとだけやきもちを焼いたのはここだけの秘密だ。
「
スピカの写真集③【チョコレートリリー寮の少年たち】
「ぼくらの情報網によると、えっと……パンチェッタのミモザガーデンサラダがメインで、三日月麺麭、きのこと玉ねぎのミネストローネ、だったと、思います」
「今日も美味しそうだね。給食のことは、天使たちに聞くのが一番だ。なぜ献立表に載ってないメニューまで知っているんだろう」
サミュエル先輩がさらりとブロンドの髪をゆらして首を傾げた。
「くわしいことはひみつです」
「うん、秘密」
「学食情報については、任せ
スピカの写真集②【チョコレートリリー寮の少年たち】
立夏が、机上にあった小さなベルを鳴らしてママ・スノウを呼んだ。メモを渡している。
「立夏くん、ありがとうございます……あと、ご学友一同のお写真の件は……」
「せっかくの写真集だし、みんな、協力しよう」
「はーい!」
「やった!たのしそう!」
「ぼくはすみっこにいていいですか」
「ロロは僕が責任をもってセンターに」
「わあ、どうしよう。リボンの編み込み、気合い入れなきゃ!可愛く撮ってくださいね」
「