「ひきこもれ。」
吉本隆明著・「ひきこもれ ひとりの時間をもつということ」を読んだ。
日本を代表する詩人で大思想家である著者が書いたこの本は、タイトルの通りひきこもることの大切さを教えてくれる。
一人が大好きでひきこもって家で黙々と読書・映画鑑賞をすることが趣味な俺にとっては最高の内容だった。笑
俺はもともと一人が悪いなんて一切思っていなく、むしろ良いことだと思っているから孤独には強い方だ。
だけど、俺より若い学生なんかはもしかしたら一人でいることや、ひきこもってしまうことに罪悪感や焦燥感を感じるかもしれない。
そんな若い人たちこそこの本を読んでもらいたい。
テレビをはじめとする多くのメディアはひきこもることが悪いみたいな前提で報道をする。
だから、なんとかして社会に引っ張り出したほうがいいと。
でも著者は、
社会に出っ張っていくことがそんなに良いことだとは思えない。
ひきこもりならそれでいいじゃないか。
と言う。
なぜか?
それは、
家に一人でひきこもって誰とも顔を合わさずに長い時間を過ごす。
この「分断されない、ひとまとまりの時間」を持つことが価値を生むからだ。
価値を生む時間をつくれずに自分の時間をこま切れにされていたら、
人は何ものにもなることができないんだ。
さらに、一人になって自分と向き合う長い時間をもつと第二の言語が育つという。
それは、他人とコミュニケーションをとる言葉ではなく、
自分が発して自分自身に価値をもたらすような言葉のこと。
感覚を刺激するのではなく、内臓に響いてくる言葉のこと。
つまり、自分のためだけの言葉。
この第二の言語を育てないと、自分の言葉で語ることはできない。
自分の感性は腐っていくし、いつも他人の言葉に踊らされて他人の人生を送る羽目になる。
上述したように、ひきこもって、何かを考えて、そこで得たものというのは「価値」になる。
「価値」というのはそこでしか増えていかないんだ。
この人が言っていることは奥が深い、
黙っているけど存在感がある、
そういう感じを与える人の中では価値の増殖が起こっている。
つまり、その人は他の人より何倍も一人でじっと自分と対話しているんだ。
ただ、ひきこもりなら何でもOKということではなく、その生き方にあった働き方を見つけたほうがいい。
いや、見つけないといけない。
なぜなら、どんな仕事でも経験の蓄積、つまり継続だ大事だからだ。
ある日突然、何ものかになって食っていけるなんてありえないんだ。
だから、毎日手を動かし、手で考えることをやっておくべき。
毎日手を動かせるものに出会えたらひきこもりは超強い。
それは必ず自分の武器になるといってもいい。
だって、ひきこもりは「分断されない、ひとまとまりの時間」をつくることができるんだからね。
ひきこもりならそれに合った生き方・働き方をしないといけないと書いたように、一人になること・ひきこもることはある程度覚悟が必要だと感じている。
なんだかんだで、一人好き・ひきこもり気質な人間だって「この性格はしょうがない」という気持ちの半面、「なんとかしたほうがいいかもしれない」と思うこともあるからね。
俺もたまには感じる。
でも、やっぱり自分の時間を誰にも邪魔されたくないんだよね。
そっちの気持ちのほうがどうしても勝つ。
だから俺は覚悟をもって、
ひきこもる。
一人になる。
手を動かす。
価値を生む。
「分断されない、ひとまとまりの時間」をつくれることがひきこもりの最大の強さだ。