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入門シュンペーター

中野 剛志 著『入門 シュンペーター 資本主義の未来を予見した天才』を読みました。

本書は、シュンペーターという経済学者の理論について解説した入門書です。
私は経済学について全く知識がなく、シュンペーターという人のことも知りませんでした。
そんな私でも特に難解であると感じることなく読み進めることができたので、例えば初めてシュンペーターについて学ぼうとしている大学生などにとっても読みやすい本でしょう。
「入門」というだけあって、前提知識など特になくても理解できると思います。

本の価格は1400円(税別)と、新書にしては高めですし、そこそこ分厚いです。しかしとても読みやすい文章ですので、読むのが苦痛になるといったことはないでしょう。


なぜ日本経済が衰退したか

本書はシュンペーターの著作、考えについて解説するというだけにとどまらず、「なぜ日本経済が成長しなくなったのか」という点についても分析しています。
その主張は一貫して「日本の政策はシュンペーターの言うことに従わなかった、だから日本経済は衰退した」というものです。

私は経済学のこともシュンペーターのことも何も分からないのですが、そんなに単純なものなのでしょうか?

本当にシュンペーターの言うことに従っていたら、それだけで日本経済は多少なりともマシな状況になっていたのでしょうか?
私には語るだけの知識がないので、この辺はさっぱりです。

とはいえ、ここ30年間の日本の政策が目も当てられないほどクソだったというのには同意します。


イノベーションとは人と違ったことをすることである

集団の中で、人と違ったことをすると白い目で見られます。
こういう同調圧力はイノベーションの妨げになります。
また、これまでの決まった生活様式、行動様式を変えて行動するというのも、面倒くさいことです。
以上の理由でイノベーションは簡単には起こらないとシュンペーターは言います。

シュンペーターは人間行動の類型を
「快楽主義的」精力的」
に分けています。

「快楽主義的」な人間は、与えられた条件の下で、自分の欲求を満たすように合理的に行動します。このような人は経済合理的な人間であり、イノベーションを起こすような者ではありません。

「精力的」な人間とは、自分を拘束する条件に抵抗し、与えられた環境に適用しようとせず、新しいことをやらずにはいられない「行動の人」です。

「行動の人」は、需要に応じて供給するのではなく、自ら需要を創造します。
スマホの普及によるガラケーの駆逐などは典型的なイノベーションですね。

「行動の人」の動機は「想像的活動の喜び」と「社会的な権力的地位につく喜び」の2つであるとシュンペーターは言います。

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