トレーニングの偏り
私は長距離走のトレーニングとは以下の2つの要素が基本だと考えています。
1)レースよりゆっくりのペースで長く
2)レースより速いペースで短く
長距離走とは最終的にはレースで「決められた距離を速く走る」のが目的となるため、対極に位置するこの2つを出発点に、それらをいつ、どのように狭めていくかが本質と言えます。同じ刺激を続けていると効果は落ちていくので、2つ要素を狭めたり広げたりしながら効率化を図ることになります。
周りを見ていると陸上未経験者は広げっぱなし(速く走らない)の人が多く、経験者は狭めっぱなし(速く走る練習の頻度が高すぎる)の人が多いように感じます。広いと持っている能力を引き出せませんし、狭いと一発が出にくくなります。
理想は2つの能力を時間をかけて養い、それを高いレベルで融合させることです。優秀なランナーや指導者は目先の成果にとらわれずにこれを実践しているように見えます。
練習を続けて調子が上がってくると強度を上げてさらに走力を引き上げたくなりますが、それは多くの場合は罠です。ハードなトレーニングをするとどこかでそのツケを払うことになります。多くの場合は故障をするか、伸び悩むかですが、結果として本来到達できるはずのレベルよりも低い地点にとどまってしまいます。
スピードかスタミナか、能力をどちらに寄せるかという点でトレーニングにはある種の『偏り』が必要にはなりますが、トータルとしては焦らずバランスを見極めて計画的に強化していくことが肝心です。