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【社長失踪】「未払賃金立替払制度」申請から支払い完了までの流れ【会社倒産】
はじめまして。
2024年の年始に突如職を失った32歳の独身男性です。
何故、突如職を失ったか、その後どうしたかをざっくり書き綴った後、賃金立替制度について実際の経験をもとに解説していこうと思います。
なぜ未払賃金立替払制度について書こうと思ったのか?
行政による記事やどっかの法律事務所による解説記事は検索すればいくらで出てきますが、実際に社長失踪・会社倒産・給料も未払いでピンチに陥った人による解説はほとんどないんです。
ていうかないです。たぶん。
長い話になりますが、会社倒産や賃金未払い等で今現在困っている方へ少しでも助けになればとの思いで書かせていただきます。
私は社長1人社員数3人の小さな広告代理店勤めで、主にゲームアプリなどのアフィリエイト案件を扱う仕事をしていました。
社長とは元々知り合いで、誘われる形で入社したのが2022年12月。
給料面はかなり待遇してくれるという話だったので二つ返事で了承。
実際、給料は前職より大幅アップしましたし、職場環境も良かったのですが入社して2年になろうとしたころ、突如地獄がはじまります。
ことの発端は2023年10月末。
給料の未払いが発生。
そこから社長は姿をくらまし、もちろん連絡も取れず、未払いのままなんやかんやで食いつないで、今年の1月に事実上倒産という形に。
この10月末~1月までの間に何をしていたかについては、かなりややこしく長い話なってしまうので、この記事に反響があれば、詳細を書いていこうと思います。
社長失踪、数か月分の給料未払いなどのゴタゴタでいつの間にか1月は過ぎ去っていましたが、少し落ち着きを見せたころ、ようやく労基へ行く話に進みました。
ゴタゴタやってる間に、もぬけの殻となった元オフィスの様子やオフィスのポストに溜まりに溜まった社長宛ての郵便物を写真に収めており、ほかにも今までの業務におけるチャット履歴やLINEのトーク履歴などできるだけスクショで保存していたので、それらの証拠があることをあらかじめ電話で労基に伝え、実際に労基署に相談しにいくことになりました。
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人が来た痕跡があり、デスクで堂々とタバコを吸った輩がいた模様
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社員たちがリモートワーク中にPCなど金目のものは社長が回収したと思われる
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玄関の扉の隙間にびっしりと挟まっていた
2月。
私と後輩と2人で労基署へ。
ことの発端から今までのことを全て話し、証拠になりそうな写真・スクショ、ゴタゴタ中に社長宛て送っていた未払い分を払ってほしい旨を記載した内容証明の控えを労基に提出。
さらには社長の親族に関する情報や当時の取引先についての情報も全て労基に共有しました。
この日の労基での話し合いは、賃金立替制度についての説明を受け、失踪社長の調査を開始することが決まりました。
代表者として私が今後の労基での手続き関係を全てやることとなりました。
※同じ会社で複数相談者がいる場合は代表者を一人立てて、その人が一任するらしい。
あと、色々書類も書きましたが、内容はあまり覚えてないです。すみません。
労基と並行して、ハローワークで失業保険の手続きも開始しました。
ハローワークでは社長が失踪した場合、何をどうしたら失業扱いになるのかなどを相談。
ここでも色々書類を書きましたが、失業保険はわりとすんなり申請が通りました。
ただ、厄介だったのが健康保険証の返還に関してで、普通だったら退職時に会社に返還するだけで、自分でどうこうすることはないと思いますが、この時点で会社は消滅しているのも同然であり、なにをどうしていいか全くわかりませんでした。
ハローワークもおそらく管轄外なのでしょう。
これに関しては自力でどうにかするしかわりませんでした。
ネットで色々調べましたが、こんな超レア事例についての答えなんてあるはずもなく、とりあえず年金事務所へ相談しに行きました。
案の定、レアケースすぎて対応してくれた担当者も困り果てていました。
本来は事業主もしくは正式な代理人が退職者の保険証の返還を年金事務所で手続しなきゃいけないらしいのですが、当の事業主は失踪しているわけで、もちろん正式な代理人なんているはずもなく、返還自体が不可能。
でも、不正で保険証を所持している状態だから返還しなきゃならないというわけのわからない状況に。
担当の方も別の職員に相談したり、なんか書類を確認したりでなんとか知恵を振り絞って、パワープレイで返還する方法を教えてくれました。
おそらくこのパワープレイ返還はやり方的にはグレー。
年金事務所によって対応の仕方が色々あると思うので詳細は伏せます。
でも、こうでもしないと返還できないから仕方ないよね的な。
とにかく、この保険証の返還問題はけっこう苦労した手続きの一つでした。
ちなみに返還後、マイナポータルで保険証情報をみたら、ちゃんと処理してくれたようで後に正式に決まる退職日扱いの1月某日が保険証失効日になっていました。
3月。
各々の転職先が決まる。
労基等の手続きと並行して転職活動をしていましたが、元社員全員無事転職成功。
少しだけお祝いムード。
私はもう広告代理店は懲り懲りだったので、マーケティング系の仕事へ就きました。
4月の入社前に1回だけハローワークで申請した失業保険が入りました。
10万円ほど。
4月。
税務署から電話。
社長が失踪したせいで、源泉徴収票が交付されていなかったので税務署にも相談していたのですが、これも社長が見つからないとどうにもならない書類らしいので、税務署も社長探しをしていたそうです。
結局、社長は見つからないので源泉徴収票も諦めてくださいという電話での報告でした。
ちなみに税務署がどのくらい社長を探してくれるのかというと、もぬけの殻となったオフィス訪問と社長の携帯番号に電話するだけみたいです。
そりゃあ見つかるわけないよね。
5月。
労基から電話。
失踪社長の調査報告を電話で受けました。
要約すると調査を終了して賃金立替の手続きに進むとのこと。
やはりというか、そもそもあまり期待はしていませんでしたが以下が調査結果。
・失踪した社長宛てに電話を定期的にしたが繋がらない。
・社長の実家宛てに労基へ出向くよう何度か書類を出したが無反応。
・唯一、社長の弟とは連絡がとれたが今はもうとれない。
結局、電話するか書類出すかしかやりようがないみたいです。
ちなみに例のゴタゴタ中に一度、当時の主要取引先の担当の方と我ら社員で社長の実家(マンション)に突撃したことがあるのですが、インターホンは何度押しても無反応、部屋のカーテンは閉めきっており中の様子は不明。
褒められた行動ではないことは重々承知ですがポストに手を突っ込んでみたところ、オフィスと同様に郵便物がぎっしりと詰まっていました。
社長の弟は個人事業主で我々とも仕事で協力関係にあり、社長失踪後に唯一連絡が取れた人間だったのですが、結局は社長の親と同様、逃げる選択をしたのでしょうね。
というか、一族共謀で逃げる計画だったのでしょう。
そもそも社長が失踪した理由ですが、正直よくわかりません。
色々と落ち着いた後に、社長とも親交があった当時の取引先担当者経由から聞いた噂話程度の信憑性の低い話ですが、どうやら闇金に莫大な借金があって首が回らなくなったから逃げたのではないか、ということらしいです。
そして5月中頃。
賃金立替関係の書類が郵送で届く。
賃金を立替で支払ってもらうための第一歩。
認定申請書というものが家に届きました。
勤めていた会社の情報を色々記載する書類です。
たしかこれを提出することで事実上倒産の認定にもなるようです。
5月末。
再度、労基から電話。
認定申請書受理の報告と最後に取引先へ聞き込み調査をして失踪についての調査は終了する旨の電話でした。
労基もあまりあてにしてない感じでしたが、最後の粘りみたいな感じでしょうね。
結局、取引先への聞き込み調査も収穫なしだったようです。
7月。
認定通知書が届く。
要はあなたは賃金立替の権利を与えられましたよっていう書類。
私のところには届いていないのですが、後輩には年金事務所から元勤め先の実態調査に関する書類が届いたようです。
7月末。
確認申請書が届く。
今度は”確認”申請書です。
今までの未払い分の給料額を細かく記載して提出する書類です。
さらに別紙も同封されており、虚偽の報告をした場合は罰しますよっていう誓約書みたいな書類なんですが、元勤め先に対して思うことを記載する欄があって、この欄に関しては恨み辛みを念を込めて書かせてもらいました。
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なにより大変だったのが、元勤め先に勤務していた期間と退職後半年分くらいの通帳のコピーも同封しなければならなかったのですが、私の場合、紙の通帳に印字せずアプリで管理していたので、アプリで見れる入出金情報をスクショして印刷した100枚近くの紙を同封して労基へ郵送しました。
あんな長時間コンビニのコピー機を占領したのははじめてです。
コピー代も1000円近くかかりましたよ。
そういえば今までは私だけが書類手続きをしていましたが、このあたりから元社員全員に労基から書類が届くようになったみたいです。
9月。
労基から電話。
確認申請書が受理された報告を受け、労基署へ呼び出しをされました。
最終手続きは労基署で直接書類を書くようです。
電話の数日後に「この日に労基に来てくださいね」っていう呼び出しの書類が届きました。
やっと終わりが見えてきました。
9月中頃。
7ヶ月ぶりに労基署へ。
労働者健康福祉機構へ提出する立替払請求書を労基の担当者と確認しながら記入していきます。
氏名や振込口座番号などを記入するだけで終わりました。
ただ、労基側で提出してくれるのかなと思っていましたが、記入漏れがないかチェックしてくれるだけで、提出自体は自分でポスト投函でした。
ちなみに立替金額ですが、会社から支払われるはずだった税やらなんやらの差し引き前の金額の80%になります。
月の給料の総支給額が30万円の場合
300,000 × 0.8 = 240,000
24万円が立替払いされます。
例えば月給30万円で3ヶ月分の未払いがある場合は、その8割なので72万円が労働者健康福祉機構から立替払いされることになります。
おおよそ差し引き後の手取り分くらいは立て替えてくれるイメージですね。
記載漏れ等がなければ提出してから2週間前後で振込日お知らせの書類が家に届きます。
2月に労基へ相談に行ってから最終手続きまで半年以上の月日がかかったので、この通知書をもらっときはかなりうれしかったです。
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2024年10月。
ついに、振込!
通知書が届いてからわりとすぐに振り込まれました。
立替払請求書を申請してからはスピード感ありましたね。
本来は会社から支給されるはずだったお金をこんなに苦労して取り戻さなきゃいけなかったのは本当に悔しいですが、実際お金が入るとめちゃくちゃうれしい。
とりあえず頑張ったご褒美にちょっとお高い焼肉に行きます。
最後に。
社長失踪だったり会社倒産することなんてそうそうないと思いますが、もしそのような状況に陥った場合は、給料明細、タイムカード、チャット履歴、LINE履歴、なんでもいいから会社関係の書類は手元に準備しておきましょう。
馬鹿みたいに手続きに時間がかかるので、給料未払いが発生した時点で労基にすぐ相談!
お金に余裕があるなら弁護士に相談することも視野に入れましょう。
私たちの場合は金に余裕がなかったので労基しか頼るところがなかったですが…。
でも諦めずに対処すれば、なんとかなります!!