関東と関西で『桜もち』が2種類ある。道明寺と長命寺の違い
人材教育家でマナー講師の井垣利英です。お花見の時期に、和菓子屋さんに並ぶ『桜もち』。実は、この『桜もち』は大きく分けて2種類あって、地域によって違うのです。
そこで今回は、関東と関西で違う『桜もち』についてご紹介します。この記事を読むと、きっと桜もち、和菓子が食べたくなりますよ♪
◆二種類の『桜もち』とは?
こちらが、二種類の『桜もち』です。私の地元・名古屋では、写真の左にあるものを『桜もち』と呼びます。でも、東京ではこの桜もちを『道明寺(どうみょうじ)』と呼ぶのです。
そして、写真の右にあるものを、東京では『桜もち』と呼びます。
私はこの事実を、大学入学で上京し、近所にあった和菓子屋さんへ行って初めて知ったのです。東京へ来て、多くの違いにビックリしましたが、その一つが『桜もち』が違うことでした。
◆関西の桜もち=道明寺 のルーツ
大阪の道明寺(どうみょうじ)で、蒸したもち米を乾燥させて、粗びきして作った道明寺粉を使ったおまんじゅう。それを塩漬けした桜の葉でくるんで作ってあるのが、道明寺と名付けられた桜もちです。
◆名古屋の桜もち。もち米のつぶつぶ感
こちらが、私の地元・名古屋の桜もちです。名古屋の老舗和菓子屋さんの一つ『万年堂』の桜もち。これを名古屋では、桜もちと呼びます。
あなたの地域では、この和菓子を何と呼びますか? 私のInstagramのインスタライブで桜もち特集をして、皆さんに質問したところ、関東以外の多くのエリアで、この和菓子を『桜もち』と呼ぶようです。
包んでいる桜の葉をめくると、ツヤツヤ美しい桜もちが、顔をのぞかせます。桜の香りがふんわり香って、春の風を感じます。
◆京都の桜もち=道明寺へのこだわり
こちらは、京都の和菓子店『仙太郎』の桜もちです。二枚の桜の葉を使っていて、葉をめくるとこんな感じです。
こちらのお店は、こんな風に詳しい説明書がついています。これをじっくり読むと、和菓子へのこだわりを感じたり、クスっと笑ってしまう楽しい内容も書かれています。
最後の方に書かれている、道明寺へのこだわりを紹介しておきます。
※道明寺・・・ほしいいのこと。糯米(もちごめ)を蒸して乾燥させたもの。
蛇足 関東の桜餅は小麦粉を水で溶いて鉄板で薄焼きして、クルリと筒状にあんを挿んだもの。葉もクルリ一枚。中々いい菓子ですぞ、私共もつくれるが作らない、道明寺一辺倒。 仙太郎
◆関東の桜もち。薄皮状の小麦粉の生地
東京で『桜もち』といえば、こちらです。見た目も材料も、関西の『桜もち』とは違います。関西は、もち米を使っていますが、関東では小麦粉を薄く焼いて、その中にあんこがはさんであります。
横から見るとこんな感じです。この桜もちは、正式には『長命寺(ちょうめいじ)桜もち』と言います。
◆江戸の桜もち=長命寺桜もち のルーツ
桜もちの由来は、当店の創業者山本新六が享保二年(1717年)に土手の桜の葉を樽の中に塩漬けにして試みに桜もちというものを考案し、向島の名跡・長命寺の門前にて売り始めました。
その頃より桜の名所でありました隅田堤(墨堤通り)は花見時には多くの人々が集い桜もちが大いに喜ばれました。
これが江戸に於ける桜もちの始まりでございます。・・・長命寺桜もち HP
◆まとめ。日本人は桜が好き
関東と関西の『桜もち』の形は違えど、江戸時代に桜の葉を塩漬けにして、おまんじゅうに香りづけして、乾燥を防ぐという工夫をこらしました。
桜の花見を楽しむだけでなく、その葉っぱまでも楽しんじゃう日本人。
日本人がいかに桜を愛してきたのか? よく分かりますよね。もちろん、現代の私たちもやっぱり、桜を見ると春を感じて、心も明るく軽くなります。不思議な力のある桜の木。たくさんの桜を植え続けてくれた、江戸時代の人たちへ感謝ですね♪