グリストとキキララと小リス
souと私の夏休み、1日目。
初日である今日は、朝からお店の大掃除で始まった。
100均で3枚入りの雑巾を買って、3枚全ての両面が真っ黒に汚れるまで床や窓を磨いた。
そしてグリストラップだ。
飲食店には必ず[グリストラップ]という設備がある。[グリスト]と呼ばれるそれは、排水に混じる油脂やゴミを分離させた上で下水道へと流す「油脂分離阻集器」と呼ばれる装置のこと。
生ゴミや油脂が直接下水に流れるのを防ぐものなので、それはもう汚い。
いつもは定休日前などに定期的に掃除をしているのだけど、夏季休業前ということもあって、今日はお掃除のプロ、ダスキンさんに依頼をしてグリストとグリストのフタまでぴかぴかにしてもらった。
フタ閉じる前に、綺麗になったグリストを気持ちよく眺めながら、数年前、岡山にあるカフェで勤めていた頃のことをふと思い出した。
その日は確か年末で、当時の店長と新人の私が2人でグリスト掃除を担当。
そこで初めてグリストなるものを知った私は、こんなにも汚いものがあるのか、と目の前がくらっとしたことを覚えている。
気分が悪くなるほどの臭いに気も遠くなる。
そんな中、店長が言った。
「グリストを掃除するときはね、かわいくってきらきらしたものを考えながらしたらいいんだよ。ほおら、キキララとか小リスのこと考えてごらん?ほおら、キキララ。ほおら、小リス。」
なんでその2つなんだろうと気になって仕方なかったし、キキララも小リスも私にはぼやっとしかイメージできなかったけど、最後までちゃんと、2人で黙々と綺麗に磨いた。汚れていた水は透明にまでなった。