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15歳、高校受験。ほんのちょっとだけ狂気漂う、中学時代の勉強法

話を始める前に、僕の性別について。
僕は「女性」だ。
一人称が「僕」と「私」の時があるので
混乱させて申し訳ない。

15歳のとき、
僕は勉強が好きだった。
高い点をとればいいだけという
単純なルールが好きだった。

僕は勉強するとき部屋を真っ暗にしていた。
明かりはデスクランプだけ。

僕の脳みそは多くの情報を処理できないと、
その時からうっすら気がついていた。
視覚情報を最小限にするための策だった。

僕は勉強をするときにある曲をかけていた。
それは、モーツァルトのラクリモーサ。
幼い時に練習させられた歌。

50分勉強して、10分休憩する。
そのインターバルが好きだった。
遠泳の練習をしているときに似ていた。
無になれたのだ。

僕は全教科の教科書を読んだ。
僕は問題集の解答も読んだ。
理解できない数式や暗記系の科目は
歌にして覚えた。
ラクリモーサのメロディーに合わせて。

50分の間は、机から離れなかった。
尿意を感じても10分の休憩に合わせて
放尿した。

ランプだけの暗い部屋。
だんだんと強く感じる尿意。
難解な英語の長文問題。
何度も流れるラクリモーサ。

僕はとても楽しかった。
見えないルールで
がんじがらめになっている
50分間が幸せだった。

10分の休憩時間に、僕は決まって
かりんとうをひとつ食べた。

そんな僕を両親は不気味がった。
そんな僕を両親は心配した。

そうやって僕の高校受験は終わった。
一度も学校見学に行かないまま
次の春、僕は高校生になっていた。

15歳のとき、
僕は勉強が好きだった。
高い点をとればいいだけという
単純なルールが好きだった。



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