暇は貴重。好奇心ドリブンで生きると自分の輪郭が明確になる。
僕は暇だ。
無職だから。
労働時間が空に浮いているのだ。
僕は気がついた。
無職の僕は頼りない。見栄もない。
余計な誇りも、驕りもない。
肩書のない僕はとても僕なのだ。
のびのびしている。
いってらっしゃいと家族を送り出し、
9時から15時半まで、僕は暇なのだ。
無職の僕が上記の時間で何をしているか記録しよう。
筋トレ:気が向いた時だけ。身体的コンプレックスを一つでも減らそう。
ヨガでしごかれる:女王様に会いに行くためにやっている
知らない材料でお料理:外国の食材を勘で購入し、毎回困る
読んだことのない本を読む:尊敬する人や好きな人の好きをインポートするため。今日もニーチェに苦しめられている。
聞いたことのない音楽を聞く:自分の好きが広がる感じがいい。今日は安藤裕子の『のうぜんかつら』を聞いた。
エロティックだと思うものの写真を撮る:自分がいつ官能を受信しているのか少しわかってきた
友人や知り合いと酒をしこたま飲む:やっぱり酒はいい。飛ぶ感覚がある。
友人とワインを飲んで話す:ワインは穏やかに酔う。相変わらず味はわからず。きっとこのままわからないと思う。
家族と遊ぶ:尊い時間。向かい合って話す。向かい合って時間を過ごす。ふざける。
裸で過ごす:サテンのベッドで、ひとり裸で過ごす。属性をすべて脱いで、「僕もしくは私」になる。
ポップコーンを作る:裸で作る。熱したフライパンに油と種を入れる。爆ぜる瞬間を見守る。蓋を取るのを早まると、素肌が危険にさらされる。
デジタルデトックス:局地的に実施。継続中。
好きな時に眠る:眠くなったら眠る。
生き物について調べる:いま好きなのは、ダニ、カメレオン、とかげ
今まで、仕事のためにインプットをしてきた。
プロジェクトに必要な知識を詰め、市場のトレンドにアンテナを張り。
今は違う。
何の役に立つかわからないことを、自分の気の向いたときにしている。
怠惰で、優雅で。
僕は有閑無職階級。
そして今僕は、生きてきた中で最も
自分というものを受容している。
クズで純粋で、ずるくて優しい。
怠惰で勤勉で、冷徹でどこまでも優しいのが
僕なのだ。