凛としてあり続けた茨木のり子さん
最近、茨木のり子さんの詩に励まされている。
とても好きな詩は、自身が48歳の時に書いた
『自分の感受性くらい』
読んでいると、自然に背筋がシャキッとして、自分の甘ったれた生温い部分を叱咤されているような、
「あなた、しっかりしなさいよ!」と、頬を叩かれたような気持ちになり、目が覚める。
特に最後の三行は、厳しくもありながら、とても愛のこもった言葉だ。
毎朝、水を飲むようにこの詩を読み、一日をスタートさせて、
ときに、だらけた昼間も読み返しては活を入れ、夜はとことん自分を甘やかし、労い、そしたまた新しい朝がやって来て、読み直す、そんな日々が続いている。
二十歳で終戦を迎え、その時の経験を綴った『わたしが一番きれいだったとき』は教科書にも載ったので、記憶に新しい人もいるのではないでしょうか。
代表作の一つ『倚りかからず』もまた、絶望の状況の中でありながらも、信念を持って生きよ、というストレートな思いが心に刺さる。
飾り気のない言葉で綴った文面からは、その自立した精神をもうかがえる。
茨木さんが唯一、心を鎮めていたその椅子は、最愛の夫が買ったものだという。
脳動脈瘤破裂によって、ひっそりと79年の生涯を閉じたとき、遺書「お別れの手紙」が用意されていた。
その内容は茨木さんの人柄が滲み出るもので、"この度わたくしはこの世におさらばすることにしました。"
から、始まり、生前お世話になった人への感謝を綴り、
"あの人も逝ったかと、一瞬、たったの一瞬思い出してくだされば、それで十分でございます"と書かれてある。
最後まで"凛"であった女性です。
まだまだ好きな詩はたくさんあるけれど、
最後はこの詩で締めくくりたい。
生前に書いた、最後の詩のようです。
忙しない毎日の中で、自分を見失ってしまいそうなとき、、
そんなとき、この詩を思い出してください。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?