青い夜を南下する
青い夜、赤いランプ、ひかりの河と流れる道路、導きの印に沿い南下している、魔法の絨毯で浮かぶ走行
左はショップが立ち並んでいる、右に湾岸工業ベルト地帯、千のあかりが夜空へ昇る、照らされた浮雲
行く先は海辺の街、あの海辺には赤い橋が二つある、一つは名の知れた橋、もう一つが隠された岬につづく橋
昔、昔の恋人と魔法の絨毯でその橋を渡った、あのときも青い夜だった、岬から対岸の陸影をながめていた
青い夜のいまも工場の隙間の対岸に陸影が浮かんでいる、見え隠れする陸影を浮かべた黒い湾は凪いでいるようだ
飛行機の点滅が煙突に隠れる、煙突の先端に焔がゆれる、前方はなお赤いランプ、青にとけあいパープルめく車間
宵は夜中へ、幻の私がサンルーフから上空を見上げる、その目に映る雲の階梯を昇る、一、一〇、一〇〇、一〇〇〇m
幻の私、in the 夜空のグランブルー、ときおり明滅するグライダー、街あかりを見おろせば、未だ南下はつづいている、街と橋が見えてきた