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原体験、公衆電話
スモッグに瞬く星月のもと、住宅地の角の三角公園、その入口にともる電話ボックス、週末のあかり
右手にはテレフォンカード、左手のなかの錠剤デパス、その従姉妹はサイレース、憂いの係り
通話の際には飲み干している、急激な害はno problem、だとしても電話掛けて人に依存、その果てには願掛ける神に依存、か
受話器を片手に立ち尽くす、具合の加減に酔い痴れる、打ち捨てられたようなボックスのなかのこと、暮れ果てた空にはなお星月が
いまだ作用しているドラッグの酔い、まるで周波数あうトラックのよう、鉄骨のジャングルジム、てっぺんでジャンケンした記憶
テレフォンカードをテレカと呼んでいた、エレキギターをエレキと略してた、こんな大人になってと享楽の自嘲、金輪際うつむかないと将来を自称
みたされていく電流のみなも、混線するコードの奥の水底、誘惑する受話器のなかの気配、ゆらりゆれる幽霊みたいな影法師
浮遊の聖夜にひたる、約束のエリアにたゆたう、深緑の彼方にみちわたる原風景、深い夜をかたどる原体験