Round Midnight
夏の終わりのここ、ぼくの知人の箱、補導されるぞと歩道にJKを出す、ほどほどに流れ出すDJの曲、しっかり覚えてしまっていた曲、うっかり思い出してしまった記憶
ディグられてまき散らされた音の結果、チクタクと巻きもどされた時の経過、散々オールするとまくし立てておいてとりやめにする、騒ぎと音楽を背にまとわりつかせてドアを出る
時計の針がさすのはVの字、都道七号線からの道のり、ジャワティを買ってあける、駐車場がらんどうにあいてる、高架下をくぐって自由に歩くか、轟音がするのは一〇時台の快速か
満月は蒼白かった、マンション群を歩いていた、とおる公園にいる恋人、とおく家屋の窓の音、テレビニュース中継の音、電柱の電灯の色、子供の声が今夜まったく聴こえないのは、もっともこの夜が真っ暗で遅いから
原色なりし宝石が見出せたらと求めてはいたものの、チェンジなき日常が身だしなみではもっとも、叶うはずはなかった、とおりかかる深夜営業の花屋に、カーネーションがなかった
星のひかりのありよう、都市のあかるさが見せる夜、夜道に電車から吐き出される満タンの影法師、暗がりに電波見ながらふみ出すのはマンネリではないし、ならばwalk this way ならむういのおくやまけふこえて
いつしか時計の針はLの字の午前の夜、鬱屈の最適解はコンビニエンスストアの色、うたた寝する犬がいる、ふたたび店のなかに入る、清涼飲料の毒々しい色あい、蛍光灯の下の白々しい彩り、強いるCM、恣意的なMC
茶をあおる、夜があける、上を向いた目に浮かぶ記憶、ひたむきに描いていた飛ぶ希望、痛むからと無視してきたのに、記憶が蘇り落下した夜あけから見上げるに、空に透かす色あいは浅い茜、それに託すお願いが明日の証