今を戦う受験生へ
この時期になるといつも思い出すのは、高校受験と大学受験に必死だった当時の私のこと。周りからの嫉妬の目と、確実にトゲを持った言葉たちを必死に無視して、ただ前だけを見て進んできたあの日々のことを、思い出さずにはいられない。
今、あの頃の私と同じように、もしくは私よりももっとずっと必死になって戦っている受験生は、全国にたくさんいると思う。中には私なんかより強くて逞しい人もいれば、反対に私みたいにどこか脆さがありながらも、なんとかそこに立っている人もいるんだろうな。
私が伝えたいのは、あなたが今立っている場所が、世界のすべてでも、あなたの唯一の居場所でもないということ。大学2年生になって、受験生だったあの頃には想像もできなかったくらい、今の私はたくさんの居場所をみつけたし、たくさんの世界を覗くことができるようになった。もちろん、それだけでこの世界は完成していない。もっともっと、今の私でも手の届かない世界が、居場所が、たくさんある。
だから、どうか諦めないで欲しい。今あなたが立っている場所が、たとえ醜い人たち、誰かを蹴落とそうと必死になっている人たちで溢れていたとしても、それはあなたの世界のすべてじゃない。これは私が実際にこの目で、この体で知ったことであり、学んだこと。今はすごく凄く、苦しくて辛くて、死んでしまいそうだと思えるかもしれない。きっとそんな毎日を送っている受験生は、少なくないと思う。受験は、それだけ過酷で、残酷だから。でもそれを乗り越えた先にある景色は、世界は、今よりきっともっとずっと、広くて明るくて素敵なんだ。あと少しだけ、諦めないで欲しい。今よりもっと頑張るんじゃなくて、ただその夢を、想いを、努力を、人生のすべてを、ただただ諦めないで居続けて欲しい。
どんなに逆境でも、どんなに苦しくても、どんなに周りが醜くても、うるさくても、あなたの心の奥底で、あなただけの想いや夢というヒカリを灯し続けていれば、絶対に大丈夫。当時の私が、ずっと願い続けていたのは、志望校への合格とその先にある夢を叶えるということ。それだけをただ、心の奥底で大事に大事に灯し続けて、信じ続けてきた。どんなに自分に自信が持てない日も、頑張れないと思える日でも、そのヒカリだけは、途絶えないように守ってきた。あなたが涙を流すのは、あなたが弱いからじゃないと思う。あなたの中のヒカリを、必死に守ろうと、信じようとしているからこそだ。決して諦めているからとか、頑張れていないからとかじゃないと、私は思う。
こういうときに限っていつも以上に言葉がまとまらないけれど、とにかく、まだ夏は続くから、大丈夫。夏が勝負って言われるけれど、夏だけじゃない。あなたがこれまでしてきた努力、積み上げてきた経験も、あなたの背中をきっと押してくれる。夏だけじゃないから。たとえこの夏を頑張れなかったとしても、まだ秋と冬がある。本番の直前まで、どうか歩みを止めないで。前だけ向くなんて難しいかもしれない。でも、絶対にできるって根拠のない自信を持っていい。受験生はみんな立派でかっこよくて最高の戦士だから。受験に立ち向かっている。ただその事実だけでも、十分、あなたが自信を持っていい根拠になる。
偉そうなことを書いているけれど、当時の私は、多分誰よりも弱かった。何かある度に泣いて泣いて、泣いてばかりで。涙で前が見えなくて、自分が信じてきたものたちが全部崩れる音を、何度も聞いた。それと共に、限界を超えて、心も壊れて、感情が丸ごと消え去ったときもあった。でも、最後は勝った。自分の手で、目指した場所に立てる権利を勝ち取った。周りのうるさい声も嫉妬も意地悪も、ぜんぶぜんぶ振り払って私は、今この場所に立っている。
私の受験期はいつだって、負けの連続だった。できたと思ったテストが、平均を下回っていた定期テスト。A判定が一向に出なかった模試。全部、苦しかった。涙が止まらない夜も、死にたい気持ちが消えない夜も、制服を着ただけで吐きそうになった朝も、歩道橋の上でしゃがみ込んだあの朝も、全部全部、負けだった。でも、最後の本番で勝てれば、それはきっと必要な負けだったと思える。だからどうか、1回の負けで、すべてを捨てないで欲しい。
勉強法とか頭が良くなる方法とか、そんな受験の為になるようなことは何ひとつ書けない私だけれど、毎年、私は受験生を心から応援しているし、支えたいと思っている。きっと大丈夫だよって、背中を押してたいと思っている。どうか、このnoteが誰かひとりにでもいいから、孤独な夜を過ごす受験生に届きますように。
どこにも残せない言葉や声は、ここに残していってくれていい。誰かの代わりに、私があなたの声を、想いを、受け止めたい。いつでも私は、あなたのことを応援している。
きっと、勝てるよ。