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自転車に乗って川を越えて、戸田球場に行く。(橋渡るとこまで)
交流戦が終わった後の予備期間(4日間くらい)が鬱。
今年もそんな人、いませんでしたか? わたしはばっちりそうでした。今年は梅雨入りが遅かったせいもあって、スワローズは順調に日程が消化されて予備期間に試合が全くありませんでした。お祭りみたいで楽しかった交流戦はきっかり3週間で終わってしまったのです。選手たちにとってはいい休息になったとは思いますが、でもファンにとってはですね…
野球、観たいよおおお!
となるわけです。頭と身体がスワローズロス。って熱狂的スワローズファンの友だちのたかやまさんに言ったところ、なぜかちょっと引かれました。
たかやまさん
「え? いつもそんなに試合観てたっけ?」
純粋に疑問を呈しただけで、マウント取ろうとしてるわけじゃないと思います。たかやまさんはそういう人じゃないんです。
ささづかまとめ
「勝てそうな試合はちゃんと観てますよ? あと初回は必ず観てます。初回のピッチングで判断する感じで」
たかやまさん
「ああ、ライアン(小川)とけけ(高橋奎)のことか」
たかやまさんが遠い目をしました。感動の光景と背信のトラウマがたかやまさんの記憶の中で重なり合っているようです。
ささづかまとめ
「交流戦で高まったスワローズ観たい欲、どうしたらいいんでしょう」
たかやまさん
「じゃあファームの試合でも観に行く? さーさちゃんの好きな三ツ俣とかいるかもしれないし」
ささづかまとめ
「三ツ俣選手が好きっていうより、三ツ俣選手のお尻とか太ももらへんが好きなんです」
三ツ俣選手の性格もプレースタイルもよく知りません。でもあのもっちりした下半身の感じがたまらなくて。
たかやまさん
「そこは三ツ俣が好き、でいいと思う」
たかやまさんは無表情に言いました。普段から基本無表情なので、擁護されたのかさらに引かれたのかちっともわかりませんね!
ささづかまとめ
「二軍の試合観るのはいいんですけど、どうやって行くんですか? 戸田球場…でしたっけ?」
スワローズファンならスワローズの二軍施設が埼玉県の戸田市にあることは知っている人も多いでしょう。でも、具体的なアクセス方法まで把握している人はもしかしたら少数派なんじゃないでしょうか。わたしは知らなかったです。
たかやまさん
「埼京線の武蔵浦和で下りて、そこからバスに乗って、バス下りたら10分くらい歩いて土手を越えると戸田球場」
ささづかまとめ
「なんか、面倒くさいですね」
たかやまさん
「あれ? 乗りもの嫌いだったっけ…?」
これも嫌味じゃないんです。きっと純粋な、なんかです。
ささづかまとめ
「埼京線からのバスですかあ。なんかハードル高い気が」
埼京線、苦手なんです。好きな人そんなにいないと思いますけど。
たかやまさん
「私はよく北戸田駅から歩いていくよ。40分くらい」
ささづかまとめ
「それもちょっと…。はあ、自転車とかで行ける距離にあればいいのに」
たかやまさん
「自転車でも行けると思う。ここから環七を北に行けばすぐ練馬だし、となりは和光市でもう埼玉だから」
ささづかまとめ
「あのー、それって関東全図くらいの視点で見てません?」
たかやまさん
「自転車でちょっと遠くに出かけるの、楽しいよ」
はあ。とわたしは返事をして、自転車で戸田球場に向かったのです!
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ささづかまとめ
「あはは、入りますよー、ようこそ埼玉あああ! ふううう!」
たかやまさん
「さーさちゃん、ハイになってない?」
ささづかまとめ
「はー、そうなんですかね? 太ももがパンパンなのに気持ちいい感じなのがそれなのかな〜? って感じですね!」
たかやまさん
「そんなランナーズハイみたいになるほど走ってないと思う」
たかやまさんはそう言いますが、いやいやもう1時間半くらい自転車に乗っているのです。高円寺とか都立家政とか中村橋とか見た目は笹塚以上にぱっとしないけれど文化レベルは笹塚より高そうな街をいくつもかすめながら走ってきました。普通のクロスバイクってこんな距離移動するのに使うんでしょうか?
先行するたかやまさんについていって、五叉路のような交差点で左折して笹目通りを外れます。
わたしは地図を眺めるのはかなり好きなのですが、道を覚えるのは全然得意じゃありません。道中わたしが何度も止まって地図アプリで道を確認していると、となりで見ていたたかやまさんがわたしよりも先に道を覚えてしまうという悲しい事態になりました。まあこれまでも何度か経験していることではあるんですけどね…。
でも、そんなときに地図好きのプライドを捨てて、たかやまさんに先行してもらう柔軟性を見せるわたしです。えっへん(?)。
ホンダの研究所と理化学研究所に挟まれた道路を西進、和光市駅南の交差点で右折。和光市駅脇のガードをジェットコースター気分でくぐり、大きな道に出ます。
道路の中央分離帯に高速道路が顔を出します。高速道路の側道のような道路(でも国道です)は大きく下ってまた上ります。坂が激しい…! 上りはペダルを漕げる傾斜じゃない感じなので、ふたりで自転車を引いて歩きます。
武蔵野台地の北縁には荒川に注ぐ小河川がたくさんあって、さながらリアス式海岸のように谷が入り組んでいる、という内容の話をたかやまさんが歩きながら話してくれているのを、わたしは黙って聞いてました。すみません、あんまり余裕ないです。
ささづかまとめ
「こんなすごい坂があるなんて、やっぱり自転車やめたらよかったです! うー、しんどい!」
自転車を押しながら自分勝手に嘆くわたし。わたしたちの15メートルくらい先を歩いている中学生の女の子がわたしの声にビクッとして振り向きました。驚かせてごめん。
たかやまさん
「外環道にくっついてる道だから地形は無視してるんだよ。ちょっと休憩する? そこにセブンあるよ」
ささづかまとめ
「ううっ、でも、ここまで来たら気合いですよね、気合い! 橋渡った先のローソンでごはん買うんです。今日は揚げ鷄よりからあげクンの気分なんです! そこまでがんばります!」
たかやまさん
「感情がせめぎ合ってる。ほらポカリ飲んで」
ささづかまとめ
「あ、そうですね。水分摂らないと」
はー、ポカリってどうしてこんなにおいしいんでしょう。大塚製薬さまさま。
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この写真はここを下ればもう荒川、という甘美な坂の上で撮りました。まあ帰りは逆にこの坂を上ってくるとは思うんですけど、一旦考えないことにします。うん。
こつこつ貯めた石を使ってガチャ回してるときみたいな感覚とともに坂を下って交差点を渡り、目の前に見えるのは長大な橋。幸魂大橋(さきたまおおはし)です。って、また上りですよぉ…!
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んしょんしょとペダルを漕いで高さを稼いでいくと、ついに待ちに待った標識が!
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ささづかまとめ
「着いたー!」
たかやまさん
「着いてないけど、ほとんど着いたよ!」
ささづかまとめ
「もうほら、ね、その、ほら、あの……、ここからはね、ひゅっと行ってね……、ひゅ、ですからね!」
アニメ的に表現したら、今のわたしの目はぐるぐる目でしょう。
たかやまさん
「お疲れ。でもここなにもないし、あとちょっとだけがんばろう」
たかやまさんが思考が止まりつつあるわたしの背中を撫でてくれます。荒川の川幅の広さを脚の筋肉で感じながら、吹きつける横風に耐えてペダルを漕ぎ、着実に進んでいきます。
たかやまさん
「さーさちゃん、あれ! あれが戸田球場!」
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たかやまさんが前を進みながら左前方を指差して叫びました。彩湖の向こうに防球ネットが。うおお、まもなく到着です!
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