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か細き月

小澤征爾指揮の「カルミナ・ブラーナ」が好きで、時々YouTubeで再生しています。


「カルミナ・ブラーナ」といえば、あまりに有名な冒頭の歌。

O Fortuna,
velut luna statu variabilis,
semper crescis aut decrescis ……

おお、運命の女神よ
月のように移ろいやすく
常に満ちては欠けてゆく……



この歌を聴くと、万葉集の読み人知らずの歌を思い出します。

世間よのなかは空しきものとあらむとそこの照る月は満ちけしける
──万葉集442番歌


月に栄枯盛衰を思う……
これは古今東西、変わらないものなのかもしれません。


とはいえ、己が身を振り返ってみると、特に栄えることもない人生。
そういえば昔、「夜明け前の細い月のようだ」とたとえてくれたひとがいました。
奇しくも、月相占いでは新月直前のバルサミック・ムーン。
面白い偶然もあるものだと思ったのでした。


五更あかときのか細き月のもとに生まれ消えゆく声を知る人ぞ知る
──烏有

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