Tomoyuki Nakanishi

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ヨーゼフ・ボイスはSDGsの先駆者か

今年は生誕100年にあたるということで、ドイツでの大規模な回顧展開催など改めてその業績がフォーカスされているヨーゼフ・ボイス。活動がエキセントリックあるいは急進的であるため評価や受け取り方にも様々な側面、賛否両論があると思いますが、個人的には作品やパフォーマンスよりも「芸術概念の拡張」や「社会彫刻」といった、その思想には大きく納得できる部分があります。 例えば、 ・「ほんとうの資本とは人の持つ創造性である」 ・『人間は誰でも芸術家であり、自分自身の自由さから、「未来の社

    • 「やがてアートは消える」

      自分自身が20〜30代の頃(1980〜90年代)はまさに現代アートもブームと呼べる時期で、様々な才能が開花した時期だったのではないかと思う。当時の熱狂を知る者にとっては、今日の状況は寂しいものがある。当時、この先どういった才能(スター)が現れてくるのかと、ワクワクしていた身からすると肩透かしをくったような気分である。もちろん今日においても特筆すべき作家の方はいらっしゃると思うのだが、熱狂とは言い難い。そもそもこのポストモダンな社会も2020年終盤となり、社会はより多様でより複

      • アートの未来はアートではない-アートは世界のいたるところに存在する

        筆者は広告会社に勤務している。広告コミュニケーションの分野はインターネットの登場以来その変革を余儀なくされている。そのような状況の中、変化の本質を見抜いた名言として、レイ・イナモト氏の「広告の未来は広告ではない」というのがある。ごく簡単にいえば、インターネットの登場によって、広告はもはやいわゆる4マス媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)だけにとどまるのではなく、SNSなどを通して様々なメディアが広告としてのコンタクトポイントになり得る、ということだったと理解している。 それに

        • デュシャン/柳宗悦、ランドアート/世界遺産、数学

          「民藝」というものを初めて知った時、「何かデュシャンぽいな」と感じネットで調べたら同じような記事があったので、まずは以下にご紹介。 他にもデュシャンと民藝について触れている文章は多数ありますし、また、デュシャンと日本美術については、昨年の「マルセル・デュシャンと日本美術」展が有名でそこでも様々な議論がなされていましたね。 マルセル・デュシャンについて話し始めると、デュシャンの話だけで終わってしまうので、今回はそこには深入りせず(笑。 なにがし庵の作者と私が感じた、デュシ

        ヨーゼフ・ボイスはSDGsの先駆者か

          YouTubeはゴダールをものみ込んだ?

          YouTubeでゴダールの映画を観た。ゴダールの映画は学生の時に少し観ただけなので、 ほぼ30数年ぶりである。その時はヌーベルバーグとは何ぞや?くらいの気持ちでとりあえずレンタルビデオ屋で「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」を借りてきて観た。これがヌーベルバーグというものか、、と明確には理解できていないまでも、世の中にはこういう映画もあるんだ、とこれら映画が映画芸術に与えたであろう革新性を感じていた。 そして30数年ぶりに、ゴダールの映画を観た。今回はYoutubeで、であ

          YouTubeはゴダールをものみ込んだ?

          世界は「問い」でできている?

          右脳の現代美術/左脳の現代思想 -駆け出し哲学日記② 中学生の頃、哲学とは真理を追求する学問と教わり、いつの日か、この世界のすべてを透徹するような絶対的真理が発見されるのだろうとわくわくしたのを覚えている。それは例えば「我思う、故に我在り」や相対性理論の数式「E=mc2(2乗) 」などといったそれぞれの時代の発見が更新されいつか究極の真実にたどり着くのであろうと思っていた。 しかしつい最近、中学の時に思い描いていた「哲学の真理の追求」はそういえば現在どうなっているのだろう

          世界は「問い」でできている?