ヨーゼフ・ボイスはSDGsの先駆者か

今年は生誕100年にあたるということで、ドイツでの大規模な回顧展開催など改めてその業績がフォーカスされているヨーゼフ・ボイス。活動がエキセントリックあるいは急進的であるため評価や受け取り方にも様々な側面、賛否両論があると思いますが、個人的には作品やパフォーマンスよりも「芸術概念の拡張」や「社会彫刻」といった、その思想には大きく納得できる部分があります。

例えば、

・「ほんとうの資本とは人の持つ創造性である」

・『人間は誰でも芸術家であり、自分自身の自由さから、「未来の社会秩序」という「総合芸術作品」内における他者とのさまざまな位置を規定するのを学ぶのである』

などなど、芸術と個人あるいは社会との関わりに新たな視座を与えたのではないかと考えています。

さて、この未来に向かって理想とする社会を作ろうという思想、発想自体は今のSDGsへの端緒と捉えられるものなのか?(もちろん、未来の社会をより良くしようというのは、別にボイス一人の発想ではなく、全人類的な希望ですが)

SDGsがどちらかと言えば、環境破壊含む資本主義経済の行き詰まりにその端緒を見出される(課題解決型)のに対し、ヨーゼフ・ボイスは一人のアーチストとしてその必要性を訴えていたと思うのだが、そこがいわゆる「アート思考」の有用性へとつながっていくのか?

ヨーゼフ・ボイスの活動を包括的に捉えれば、必ずしもSDGsと合致しない部分もあると思うが、ボイスの「社会彫刻」思想とSDGsの「持続可能な開発目標」との接点がより明確になれば2021年におけるヨーゼフ・ボイスの業績の見直しはとても意義のあることになるのではないかと思う。

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