YouTubeはゴダールをものみ込んだ?

YouTubeでゴダールの映画を観た。ゴダールの映画は学生の時に少し観ただけなので、 ほぼ30数年ぶりである。その時はヌーベルバーグとは何ぞや?くらいの気持ちでとりあえずレンタルビデオ屋で「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」を借りてきて観た。これがヌーベルバーグというものか、、と明確には理解できていないまでも、世の中にはこういう映画もあるんだ、とこれら映画が映画芸術に与えたであろう革新性を感じていた。

そして30数年ぶりに、ゴダールの映画を観た。今回はYoutubeで、である。

しかし、全くと言っていいほど革新的だとは感じられないのである。もちろん以前に一度観ていることもあるだろうが、どの映画もとても平板に感じてしまった。特に「ゴダール・ソシアリスム」についてはゴダールらしさ(?)がまったく感じられず、よくあるドキュメンタリーに近い印象を持ってしまった(きっとこの理解は正しくないと思う)。

ゴダールが映画芸術に与えた影響は計り知れないものがあるのかも知れないが、それは映画という文法に対する革新であって、今、YouTubeという文法を持たない映像世界においては、もはやゴダール映画も幾多ある映像のOne of Themでしかなくなってしまったのだろうか?

では、ゴダールが映画に与えた革新のように、もうYouTubeを持ってしまっている私たちには、映像に対する革新というのはあり得ないのだろうか?

なぜならYouTubeは「YouTubeらしさ」という文法を持たない単なる映像の集積場所であるので、革新のされようがないのではなかろうか?

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