IB教育が「概念」理解を重視するわけ
※プロフィールに勤務校名を出していますが、
全ての記事の文責は個人にあります。
以下、2022年3月の校内向けの通信に書いたものです。
Q:なぜIBではそれほど「概念が重要」と言われるのですか?
A:IBMYPの『原則から実践へ』にはこのように書かれています。
IBでは、以下のように「概念理解が重要かつ揺るぎない目標」と書かれています。
また、概念についてはこのように説明されています。
簡単に言うと、「これから先も使えるような、どこでも通用する知恵をつける方が、機械的な暗記だけより大切」ということだと思います。
が、わかりづらいところがありませんか?
そして、なんとなくは分かっても「概念理解が重要かつ揺るぎない目標」であるというところまで理解するのはなかなか難しいと思います。
私自身、IBに初めて触れてから5年ほど経ちますが、「揺るぎない目標だと確信できているか?」と言われるとまだまだです。
ましてや、IBのワークショップで初めて「概念理解」について説明されたときにはよく分かりませんでした。「概念理解」というものがどういうものなのかも、どうすればできるのかも、なぜそれほど大切なのかも、ピンときませんでした。
それから何度も説明を聞いたり、本を読んだり、実際にMYPの単元指導案(ユニットプランナー)をつくって指導をしてみて、少しずつ理解が進んできたという感じです。
先日も、漫画家の藏丸竜彦先生の講演会を聞きながら、「概念理解」について考えていました。
現在中1の「言語習得(英語)」で取り組んでいるユニットプランナーでは、「創造性(creativity)」が重要概念になっています。英語でスキット(寸劇)を創る過程で、「創造性はどのように育まれるか」といったことを探究します。
私自身、藏丸先生のお話をうかがうときにも、「創造性」のことを意識していました。自分が没頭できることを見つけることや、自分の中にないものに触れてインプットすることを意識されていらっしゃるというお話があり、そのあたりが「創造性」を高めていくためになさっていることなのかな、と思いました。
締め切りに追われながらも「創造性」を発揮し続けなければならないお仕事の中で、「創造性は、ある程度の制約がある方が発揮されやすいか?」という点についてどのように考えていらっしゃるのかも伺ってみたかったです。
具体的に「登場人物の名前はどのように決めますか?(そのときにどのように創造性が発揮されますか?)」ということも非常に興味がありました。中1の生徒からも「創造性」についての質問も出るかな、と期待していました。
講演会を聴いていた修学館の生徒の中で、漫画家を目指しているのはおそらくそれほど多くはないと思います。「英語でスキット(寸劇)を創る」ということも、将来はほとんどないと思います。
しかし、大学進学後の学問や仕事や生活の中で「創造性」が求められる機会は今後の社会ではますます増えてくると思います。授業の中で教科の内容を学ぶと同時に「創造性」について考えたり、授業以外の講演会の場面などでも「創造性」という概念を通してものごとをとらえたりすることによって、それぞれがつながってきます。
このように、今回の単元と講演会で「概念は、生徒が世界を理解し、今後の学習や学校の枠をこえた人生で成功するために活用することのできる、普遍的な原則」ということの理解を進めることができたように感じました。
「概念理解」やその大切さについて、どのように理解していますか?
どう説明すると生徒や保護者に伝わりやすいでしょうか?