ささやかな日々のチョイスが世界を変える
人生は選択の連続だ。
ただ、これは選択することを選択する場合の話で、人は生活のすべてにおいて選択をしているわけではなく、「それとなく」「なんとなく」していることも多くある。
例えば、自分の場合、寝る時間は行き当たりばったりで、早く寝ることをチョイスしているわけでもなければ、遅く寝ることをチョイスしているわけでもない。
ただ単に行き当たりばったりで、寝ることについてあれこれ考えていないのだ。
うちの1年生クラスは学年最初の探究ユニットで「健康」について探究し、そのセントラルアイデア(ねらい)は、
「私たちの選択は心身の健康に影響する」となっている。
生徒たちは、まず「健康とは何か」という大きな概念から探究をはじめ、それは必ずしも身体的なことだけではなく、「こころの健康」も大事なことにきづく。
さらに、体づくりについて言えば、食物にどのような栄養素があり(五大栄養素)、それらが様々な消化器官でどのような栄養やエネルギーになるのかも本などで調べて理解し、どのような食べ物が体に良いのか、必要なのかを学ぶ。
そしてその知識をもとに、自分で「理想的なお弁当」を考えたり、「健康的な暮らしが自分は出来ているのか」を日記形式でつけてみたりする。
体の消化器官に関する知識は本来小学校高学年で学ぶとされているが、そんなことは関係ない。子ども達は興味さえあればどんどん物知りになっていくのだ。
挙げ句の果てには、家で親が食べているものをみて、「それは体に良くないんだよ」と言ったりするらしい。お父さんはぐうの音も出ない。笑
しかし、担任がいうに、学ばせたいことは健康に関する知識だけではないという。今回のユニットを通して「身体に良い食べ物を積極的に選んで食べよう」とした子ども達の行動の
「より良いものを選ぶ」という行為は、健康に関することも含め、生活の中にたくさんあって、つまりは「様々な場面で、常に考えてより良い選択を出来る子になってほしい」という願いがある
というのだ。
学んだことをApplyする(適用する)こと、アクションにつなげていくこと、
そこまでしないと学んだことにはならないというのがPYPの大切な考え方だから。
今やうちの教員の教育実践に関する様々な知識と経験に自分はついていけない。
校長でありながら、そういう先生達の話を聞いて「なるほどね〜」と普通に頷いて感心してしまう。
今日は、奈良県からある市の市長さんが視察にいらっしゃった。4年生の女の子が、自分がしてきた「水」に関する探究の話をするが、とうとうとその話が続く。学んだことがありすぎて、言いたいことがありすぎて、話が止まらない。
しかし、最後に彼女はいった。
「なので、そういうことを知って、自分たちはどうしたらいいのかなって、水資源を守るために自分が出来ることは何かなって、そう考えています」
その市長さんはのけぞりぎみに、「いやぁ・・・もう凄すぎて言葉がでません・・・」と、大変驚いていた。
我々すべてに、実は「より良い選択をする」という場面はいくつもあって、それを考えて行動する人が増えれば、それが社会に与えるインパクトはとても大きいのだ。
その4年生の女の子は市長に言った。「確かに最終的には浄水場できれいにするという方法はあるんですが、たとえば、食べ物を水で流すのではなくて、それは紙とかで拭いてから洗ったほうが水がよりきれいに保てます」
こういううちの生徒達をみて、希望を感じない大人がいるだろうか。
この子達に未来を託すのだ。
私たち教師も頑張ってより学びの深い授業を作っていかなくてはならない。
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