教育の質を上げたければ教員に投資せよ
うちの学校の夏休みもそろそろ終わり、しばらく閑散としていた施設にも、木曜日からは生徒達の明るい声が戻ってくる。
みんなどんな夏休みを過ごしたのだろうか。身体もひと回り大きくなったに違いない。どんな経験をしたのか、話を聞くのがとても楽しみだ。
それにしても、今年の暑さは実に容赦ない感じだ。
そもそも、7月の平均気温が例年に比べて2度高かったらしいが、2度というのはなかなかにすごい。
世間はもうこの暑さに慣れてきているような印象も受けるが、こんな状態が続けば、学校生活も普通には続けることが出来ないと思われる。
私がこの園で働き始めた頃、エアコンは職員室にしかなくて、教室はとにかく窓を開け放って扇風機でしのいでいた。確かにみんな汗だくではあったが、プールに入ったりしながらそれでもやり過ごしていたのだ。
しかし、今、エアコンなしでやれば、間違いなく熱中症を引き起こす。
幸い、うちの施設は、今はエアコン完備の状態だが、「空気を冷やし、地球を暖める」と言われるエアコンをどんどん使うと言うのはつまり、温暖化を進行させてしまうことで、実に皮肉な話だ。
このままでは、いつか地球に住めなくなってしまうかも知れない。
教師への投資を惜しまない経営者
さて、昨日、今日と2日間、長野市の若草幼稚園におじゃましている。長野県第1号のIB-PYP幼稚園だ。
IBスクールになるには、教育に関わる全員がIBのオフィシャルワークショップを受講する必要があり、さらに、4年に1度、監査のような形で「評価訪問」というものを受けなくてはならない。
当然、認定校になってからも人の入れ替わりがあったり、ワークショップも何種類もあるため、
折につけて、先生達に研修を受けてもらう必要がある。
今回は、その為の2日間の研修で、若草幼稚園の先生たちは夏休みの土日返上で勉強をしているのだ。
ワークショップには、IBがどこかの場所を借りて、そこに色々な学校の先生が集まる形のものと、
「インスクールワークショップ」といって、自園にIBのワークショップリーダーと言われる先生を招いて行うものがあり、今回はその後者のバージョンである。
実はうちの新任2名も、仲間に入れてもらって受講させてもらっている。
IBの提供する教員研修のシステム
今でこそ、世界に広がっているIBスクールがどのようにその評判を上げてきたのか・・・
それはひとえに、IB機構の提供するこのような教師の為の研修コンテンツおよび、そのシステムが教育の質の底上げに大きく影響していることに他ならない。
どこの教育機関も常に、「教育の質の維持・向上」には頭を抱えている。時代もどんどん変化していくし、先生達だって、新しいことは教えてもらわねば、内発的に教育改革を進めることは大変なことなのだ。
その点、IBのフレームワークを取り入れたり、IBの提供する研修プログラムに参加することで、方向性が明確になったり、確実に先生達に学びの場を与えられることに気づく経営者は増えている。
事実、今回の先生達の様子を見ていても、退屈そうにしている姿は見られず、どの先生も関心をもって話を聞いている様子が伝わってくる。
教師になった以上、自分自身の教師としての向上を目指す姿は見ていて頼もしいし、学校も幼稚園も教育の質をあげたいと思うなら、先生達に学んでもらうのが一番理にかなっている。
先生達が心身ともに健康であること、高いモチベーションを持っていること、それらが良い教育実践に必要なほぼすべてだ。
すべては生徒達のために・・・
Student firstはつまり、Teachers firstである
素晴らしい施設にやる気のない先生がいる世界と、あばら屋に情熱に満ちた先生がいるのと、どちらが良い学校か・・・もちろん施設設備も大事であるが、一番は教師の質であることを望まない人はいないだろう。
ただ、そうは言っても悩ましいこともある。
こういう場を設ける、時間とコストの確保だ。
「コスト」というと、「犠牲」という意味もあるから、コストではなく「投資」と言う方がいいのだろうが、どちらも言い換えればお金である場合が多い。
このIBのインスクールワークショップ、実は、2日間で一人6万円ほどかかるのだ。
今回若草幼稚園で参加しているのは約20名、ゆうに100万を超える金額をここの園長先生は投じている。
私も同じ、経営者なので、こういう決断が簡単なものではないことは良くわかる。頭では先生達に学びの機会を与えないとと思っても、それを断行できる経営者はそんなに多くない。
IB校であり続けるためには、それら、教員の研修受講がある意味、マストである側面はあるものの、
教師に学びの機会を与えるのは、IBのオフィシャルワークショップだけではなく、様々な機会、場面があるので、良い学校になっていくには、教師達にどれだけ投資できるかはとても重要な決断だ。
さらに言えば、実は先生達も、高い給料や、短い労働時間ばかり気にしている人は少ない。
教員という職業を選ぶ人はもともと、社会貢献や、やりがいを求めている人が多いのだ。
ただ、そういう学校側の努力は、なかなか保護者に伝わらないこともある。
良い教育にはお金がかかるということも。
私が若草幼稚園の園長先生になりかわって、この園の保護者の皆さんには、そういうTeacher firstの努力をしている園に子どもを通わせていることの価値を伝えたい。
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