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【HRテックカンファレンス2024】参加レポートVol.13『基調講演 | スキルベース・オーガニゼーション: 「次の」仕事に向けて企業を設計し活性化する方法(Keynote:The Skills-Powered Organization: How to Design and Activate the Enterprise for the "Next" of Work)』

HRテックカンファレンスとは?

2024年9月24-26日にかけて、アメリカ・ラスベガスにて開催される世界最大の人事テックイベント、HR Tech Conference & Exposition 2024。
HR Technology Conference & EXPOは、HR Tech領域ベンダーが出展するエクスポ(ブース出展)、各企業の事例やインフルエンサーがトレンドを語るカンファレンス、明日のトレンドをつくるpitch(ベンチャー企業のプレゼン大会)等が行われる【世界最大のHR Techイベント】です。

HR Techという言葉が注目されてから久しく、日本でも効率化・自動化・最適化等をテーマに魅力的なサービスが展開されています。しかし、日本の市場規模が1,200億円程度とされる一方、世界のマーケットはは2018年時点で146億8,000万ドル(およそ1兆6000億円)とまさに桁違い、しかも年10〜11%で成長しており、2025年には300億ドル(約3兆2000億円)に達する見通しでした。なかでもアメリカでは、平均従業員一人当たりで300ドルの投資がなされているとのことで、各企業が重要な投資分野と位置付けており、それに伴いベンダーも魅力的なサービスを提供し続けています。
参加できたセッションについて、ラフな文章ではありますが皆様に共有をさせて頂きます。ご参加された方は社内レポートなどの参考にして頂ければと思います。
その他レポート・マガジンはこちら

スキルベースオーガニゼーションとAIの導入が未来の仕事に与える影響


日時: 2024-09-26 08:34:47
スピーカー:ラビン・ジェスタサン、世界的な思想リーダー兼著者 - マーサー
コース名:基調講演 | スキル主導型組織: 「次の」仕事に向けて企業を設計し活性化する方法

キーワード

スキル AI 未来の仕事

主なアジェンダ

1.     スキル重視の組織:仕事の通貨としてスキルを重視する概念と、未来の仕事におけるその重要性。

2.     AIと組織変革に関する研究:企業がAIを活用してどのように組織を変革しているかに関する研究。

3.     未来の仕事ドキュメンタリー:PBSの3部構成のドキュメンタリーシリーズ「The Future of Work」。

4.     世界経済の変動:世界経済における変動性と変化の速度の上昇に関する研究。

5.     シーメンスとディズニーのコラボレーション:シーメンスが子供向けの補聴器を開発し、ディズニーと協力してマーケティングを行った事例。

6.     仕事の概念の進化:仕事の概念の歴史的進化と、それがデジタル時代にどのように関連するか。

7.     プロビデンス・ヘルスのケーススタディ:COVID-19の期間中に、プロビデンス・ヘルスがどのように仕事を再設計したか。

8.     ユニリーバの柔軟な勤務ポリシー:ユニリーバが産休や育休から復帰した従業員に柔軟な勤務スケジュールを許可するポリシー変更。

9.     HR 4.0 フレームワーク:未来の仕事に向けて世界経済フォーラムが開発したHR 4.0フレームワーク。

10. 工場のリサイクルプラントへの転換: 工場がリサイクルプラントに転換するプロセスとその影響について。

11. GEN-AIの影響: GEN-AIが仕事に与える影響とその分析。

12. プロセス自動化とAIの導入: プロセス自動化とAIの導入が仕事に与える影響。

13. 生産性向上の選択肢: 生産性向上のための選択肢とその影響。

14. スキルと雇用の関係: スキルと雇用の関係についての考察。

15. 内部タレントマーケットプレイスの活用: 内部タレントマーケットプレイスの活用とその影響。

16. 技術の要求と使用: 今後の5〜6年間における技術の要求とその使用方法についての見込み。

17. HRの役割とスキルの重要性: HRの役割がビジネスの5年間の変革において最も重要な部分であること。

18. スキルの展開と活用: スキルの開発だけでなく、それをどのように迅速かつ大規模に仕事に戻すか。

19. DEI(多様性、公平性、包括性)の重要性: DEIをエピソード的にではなく、継続的に考えることの重要性。

20. 学習と自己成長: 学習と自己成長の重要性、特に21世紀において。

知識の説明

1. スキル重視の組織

• キーポイント
o スキルはこれまでも重要であったが、現在はさらに重要になっている。
o スキル重視の組織への移行は避けられない。

·       説明
スピーカーは現代の労働力におけるスキルの重要性と、組織がこの変化にどのように適応する必要があるかを強調しています。

2. AIと組織変革に関する研究

• キーポイント

o AIを使用している135社の調査。
o マインドセット、スキルセット、文化などのレガシー要因が重要。

·       説明
この研究は、組織変革においてレガシー要因の重要性と、AIの活用方法を強調しています。

3. 未来の仕事ドキュメンタリー

·       キーポイント
o このシリーズは、研究結果や実際の適用例を示しています。

·       説明
ドキュメンタリーは、物語を通じて研究を実生活に結びつけ、労働力の変化がもたらす影響を紹介しています。

4. 世界経済の変動

·       キーポイント

o COVID-19以降、変動性は2.5倍に増加している。
o 気候危機、地政学的問題、技術の進歩などが要因となっている。

·       説明
スピーカーは、さまざまなグローバルな要因が経済の変動性を増大させていること、そして組織が適応する必要があることを説明しています。

5. シーメンスとディズニーのコラボレーション

·       キーポイント

o シーメンスは5歳未満の子供向けに補聴器を開発した。
o ディズニーと協力して製品を効果的にマーケティングした。

·       説明
シーメンスは、ディズニーとのパートナーシップを活用して新製品を成功裏に市場に投入し、業界を超えたコラボレーションの重要性を示しています。

6. 仕事の概念の進化

·       キーポイント

o 140年以上にわたり、「ジョブ」は労働の基本単位だった。
o ジョブベースモデルからスキルベースモデルへのシフト。

·       説明
スピーカーは、仕事の概念がどのように進化してきたか、そしてデジタル時代においてなぜスキルベースモデルへのシフトが必要なのかを説明しています。

7. プロビデンス・ヘルスのケーススタディ

·       キーポイント

o 看護師の役割を再設計し、高付加価値業務に焦点を当てた。
o 認定医療助手を使って日常業務を担当させた。

·       説明
プロビデンス・ヘルスは、看護師が高付加価値業務に集中できるように看護師の役割を再設計し、効率と職務満足度を向上させました。

8. ユニリーバの柔軟な勤務ポリシー

·       キーポイント

o 従業員に勤務時間を選択する権利を与えた。
o グローバル需要に合わせて従業員のスキルをマッチングさせた。

·       説明
ユニリーバは、育休や産休から復帰した優秀な従業員を引き留めるために、勤務時間の選択権を与え、スキルをグローバルな需要に合わせて活用しました。

9. HR 4.0 フレームワーク

·       キーポイント

o パフォーマンス管理と未来志向の対話に焦点を当てる。
o 従業員が変革に適応し、関連性を維持できるように支援する。

·       説明

HR 4.0フレームワークは、パフォーマンス管理を未来志向の対話と統合し、変化する環境で従業員が適応し続けられるように支援することを目指しています。

10. 工場のリサイクルプラントへの転換

·       キーポイント

o   工場のピークに達した後、リサイクルプラントに転換する。

o   従業員に新しいスキルを提供し、リサイクルプラントでの雇用機会を提供する。

o   雇用から雇用可能性へのシフト。

·       説明
工場がリサイクルプラントに転換することで、従業員に新しいスキルを提供し、雇用可能性を高めることが目的です。

1.     工場がリサイクルプラントに転換する。

2.     従業員に新しいスキルを提供し、リサイクルプラントでの雇用機会を提供する。

11. GEN-AIの影響

·       キーポイント

o   仕事の約80%がGEN-AIに影響を受ける可能性がある。

o   仕事の約20%が世界の組織の約50%に影響を与える。

o   技術の進化に伴う必要なスキルの変化。

·       説明
GEN-AIが仕事に与える影響を分析し、技術の進化に伴う必要なスキルの変化を考察します。

·       GEN-AIの影響分析

        GEN-AIが仕事に与える影響を分析する。

1.     仕事の約80%がGEN-AIに影響を受ける可能性がある。

2.     仕事の約20%が世界の組織の約50%に影響を与える。

3.     技術の進化に伴う必要なスキルの変化を考察する。

12. プロセス自動化とAIの導入

·       キーポイント

o   プロセス自動化とAIがトランザクション業務に導入される。

o   GEN-AIがリレーショナル業務を補完する。

o   専門知識を要する業務の変革。

·       説明
プロセス自動化とAIの導入がトランザクション業務やリレーショナル業務、専門知識を要する業務に与える影響を分析します。

·       プロセス自動化とAIの導入事例

        プロセス自動化とAIの導入が仕事に与える影響を分析する。

1.     プロセス自動化とAIがトランザクション業務に導入される。

2.     GEN-AIがリレーショナル業務を補完する。

3.     専門知識を要する業務の変革を考察する。

13. 生産性向上の選択肢

·       キーポイント

o   生産性向上を利益に還元する。

o   生産性向上を顧客サービスの向上に利用する。

o   生産性向上を学習とウェルビーイングのために利用する。

·       説明
生産性向上のための選択肢として、利益還元、顧客サービスの向上、学習とウェルビーイングのための利用を提案します。

·       生産性向上の選択肢の事例

        生産性向上のための選択肢とその影響を分析する。

1.     生産性向上を利益に還元する。

2.     生産性向上を顧客サービスの向上に利用する。

3.     生産性向上を学習とウェルビーイングのために利用する。

14. スキルと雇用の関係

·       キーポイント

o   フルタイムのポジションに対するプレミアム。

o   柔軟なスキルの表現と新しいスキルの適用。

o   内部タレントマーケットプレイスの活用。

·       説明
スキルと雇用の関係について、フルタイムのポジションに対するプレミアム、柔軟なスキルの表現と新しいスキルの適用、内部タレントマーケットプレイスの活用を考察します。

·       スキルと雇用の関係の事例

        スキルと雇用の関係についての考察。

1.     フルタイムのポジションに対するプレミアム。

2.     柔軟なスキルの表現と新しいスキルの適用。

3.     内部タレントマーケットプレイスの活用。

15. 内部タレントマーケットプレイスの活用

·       キーポイント

o   内部タレントマーケットプレイスの導入。

o   スキルと興味の管理。

o   プロジェクトのデザインと実行。

·       説明
内部タレントマーケットプレイスの導入とその影響について、スキルと興味の管理、プロジェクトのデザインと実行を考察します。

·       内部タレントマーケットプレイスの事例

        内部タレントマーケットプレイスの導入とその影響を分析する。

1.     内部タレントマーケットプレイスの導入。

2.     スキルと興味の管理。

3.     プロジェクトのデザインと実行。

16. 技術の要求と使用

·       キーポイント

o   技術の市場導入

o   タレントの向上

o   分析の重要性

·       説明
技術の市場導入により、より優れたタレントを内部に取り込むことができる。分析を通じて、従業員一人当たりの価値を向上させることができる。

·       UKベースの会社の事例

        UKベースの会社が、従業員一人当たり50,000ポンドの価値を向上させた。

1.     サンセットロールからサンライズロールへのタレントのアップスケーリング

2.     従来の方法(従業員の入れ替え)との比較

17. HRの役割とスキルの重要性

·       キーポイント

o   特定のビジネス問題から始める

o   データに基づいたアプローチ

o   リーダーの積極的な参加

·       説明
HRは特定のビジネス問題から始め、データに基づいてリクルートメントコストを削減し、学習習慣を組織に構築する。

·       Standard Chartered Bankの事例

        Standard Chartered BankがHRの役割を強化し、5年間の変革を成功させた。

1.     特定のスキルを特定し、新しい成長分野を推進

2.     技術運用の変革

18. スキルの展開と活用

·       キーポイント

o   フルタイムの仕事かアジャイルタレントプールか

o   柔軟なモデルの活用

o   摩擦コストの継続的な削減

·       説明
スキルを迅速かつ大規模に仕事に戻すことで、顧客やコミュニティの変化するニーズに対応する摩擦コストを削減する。

·       Unileverの柔軟なモデル

        Unileverが柔軟なモデルを活用してスキルを展開。

1.     フルタイムの仕事とアジャイルタレントプールの比較

2.     柔軟なモデルの利点

19. DEI(多様性、公平性、包括性)の重要性

·       キーポイント

o   プロジェクトごとのDEIの考慮

o   スキルの表現と成功の重要性

·       説明
DEIをプロジェクトごとに考慮し、スキルの取得だけでなく、その表現と成功が重要である。

·       保険会社のアルゴリズム

        保険会社がプロジェクトごとにDEIを考慮するアルゴリズムを使用。

1.     アジア人男性のPython開発者のプロジェクト

2.     アフリカ系アメリカ人女性の4つ星開発者のプロジェクト

20. 学習と自己成長

·       キーポイント

o   学習、アンラーニング、リラーニングの重要性

o   多技能の価値

·       説明
学習と自己成長は、21世紀において読み書きができないことよりも重要であり、多技能の価値が高い。

·       William Shakespeareの引用

        「ジャック・オブ・オール・トレードは一つのマスターよりも優れている」という引用。

1.     多技能の価値を示す引用

2.     単一技能よりも多技能が優れていることの例

まとめポイント

  • スキルベースオーガニゼーションの導入とAIの活用という観点において、このセッションでは、まず世界経済の変動についての言及がなされており、日本人が無頓着になりやすい「気候変動」と「地政学的変化」について触れられており、この点は良いリマインダー

  • そして、仮にスキルベースオーガニゼーションが主流な組織デザインになるのであれば、役職ではなくスキルに値段が付くという事(「セールスマネージャー」という役職ではなく「Saasセールス」というスキルに値段や価値がつく)。このスキルにおいては陳腐化なども含め、「いま必要なスキル」、「もう必要でないスキル」といった形で価格変動が起きるという事も一つの未来像であると感じました。

  • コンピテンシーベースなワークフォースプランでも企業の競争優勢をもたらす「コアコンピテンシー」を特定し、強化し、差別化していくという要素は重要であり、この文脈からポートフォリオを作成することもある一方で、今後Workforceのポートフォリオは、さらに細かくなる。例えば、正社員の中で「新規事業」「リーダー」「安定」など役割ベース×等級で管理するやり方から、「Ruby」「Cクラスリーダーシップ」「ビジネスマネジメント」などのスキル×等級×雇用形態(フルタイム・パートタイム・業務委託(フリーランス)・アウトソースBPO)などさらに粒度が細かい形での管理となるかもしれない。

  • そして、今現在は「データサイエンティスト」と「営業事務」では報酬が異なるように、スキルとして「Python」と「データ入力」のそれぞれに値段が付く、即ち「スキルに値段のつく社会」が生成AIやLLMの技術によって果たされることとなる。この結果、「スキル」に対して値段が付く事となる。値段が付くという事は、金銭的モチベーション(外的動機付け)が働きやすくなるという事でもあり、ある意味では社会的ニーズの高いスキルに対してそれを獲得しようとする動きが加速化されるともいえる。

全てのメルマガの内容を含め、こちらでは、トレンドの背景と今後の展望、全体総括をお話しする予定です。

最後まで読んでいただき有難うございました。
ご参加された方は社内レポートなどの参考にして頂ければと思います。

著者:松澤 勝充

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発したプログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶEvery HR Academyを展開している。

保有資格:
・SHRM-SCP(SHRM)
・Senior Professional in Human Resources – International (HRCI)
・Global Professional in Human Resources (HRCI)
・The Science of Happiness(UC Berkeley)、他

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