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王子様との出会い(3)

彼のことをもっと知りたいと思うのは
気になっていると言うことだろうか。

それともそれはもう好きという領域なのか。

自分の気持ちはまだふわふわしてる中、
彼との2回目のデートの日が来た。

彼のことは、まだまだ知らないことが
たくさんあると思う。

その彼を知っていくワクワクと
どきどきに今は浸っているだけなのだろうか。

今までの恋愛、自分から好きになって
相手を追う方が楽しいと思っていた。

しかし、相手を追いかける行為は、
同時に自分を傷つける行為でもあった。

いつも相手を優先して、自分のことを
蔑ろにしがちで、後回し。
そんな今までの恋愛経験は
何にも役に立っていなかったような気がする。

そんな中、今の人が現れた。
彼は中身も見た目も王子様、
ディズニー映画に出てきそうな人で。
自分でもこんな人と出会える事にびっくりしている。

彼は、大学で出会った一つ年上の21歳。
何事にも一生懸命だなって思うし、何より
いい意味で変わってて興味がそそられる。

そんな彼との2回目のデートは映画館での待ち合わせから始まった。

彼は、青いTシャツを着ていて、
すぐに私のことを待っていてくれる事に気づいた。
いつもデートより少し前に来てくれてるのだろうか。
私が、手を振ると、彼は、近づいてきて、
ハグをしてくれた。
映画館のチケットはオンラインで先に買っていてくれた。
そう言うところもスマートだなと思いながら。

映画館の一番後ろの席で、
席に座るとすぐ、映画が始まり、
ジブリの世界に吸い込まれると同時に
彼は私の手を握ってきた。

どきどきと言うよりも、
居心地の良い。と言うのが正しいのかもしれない。
とても安心感があって、居心地の良さに浸っていた。

ハウルの動く城。
最後に見たのは高校生の時だっけな。
話の中に吸い込まれて、心がぎゅって。
彼が映画の最中時々微笑むのがかわいかったな。

彼は、去年のクリスマスに
弟と見たんだって。
大学生にもなってそんな可愛らしいことが
あるのかと思った。

映画が終わると
二人で本当に素敵な映画だよね。
言葉数は多くなかったけど、
横にいるだけて伝わってきた。

映画が終わってもまだ外は明るくて、
二人でお腹減ったって話しながら
少し散歩した。

そして、話に夢中になっていたら
彼のお気に入りのレストランに着いた。

ヨーロッパの雰囲気があるレストランで、
私たちが最初のお客さんだった。
店員さんに愛想よく彼が挨拶して、
二人でテラス席に座った。

素敵なヨーロッパの音楽が流れていて、
少しずつ暗くなっていく外。
なんてロマンチックなんだろうと思った。

二人でパスタを頼んで、
たくさんおしゃべりをした。
今まで話したことなかった恋愛話もした。
彼は去年まで彼女がいたけど、
遠距離になって別れちゃったらしい。

知らなかったことを知るのは
楽しいなと思った。

ご飯が食べ終わると、
店内の中には20種類ぐらいの美味しそうなデザートが並んでいた。
どれも本当に輝いて見えて、
選ぶのに15分はかかったと思う。
私が随分と悩んでる間、彼は定員さんと何気のない
会話をしていた。

彼は、ここでアルバイトしたいな
そんなことを私に言ってきた。
お金のためじゃなくってこのデザートをどうやって
作るのか知りたい。そんなふうに話してくれた。

興味のあることをいっぱい話してくれる彼は
私の気持ちを昂らせて、ワクワクした。

彼との食事はあっという間。
食事が終わって、外はもう暗くなっていた。

私の気持ちは、まだ帰りたくない
その思いでいっぱいだった。

彼もまた同じ気持ちなんだなって
言わなくても伝わってきた。

だから、彼のお家まで歩くことにした。
30分ぐらいの夜道を二人でゆっくりと。

途中雨が降ってたら、
着てたジャケットを着る?って聞いてくれて
私は、雨が降る夜道なんて
なんか映画みたいで
心が高ぶってたから、全然平気だった。

ホームレスがいたりして、
私が怖くないの?って聞くと
僕は危ない目に遭ったことないけど
男の子と女の子の経験は違うよね
怖いと思うのは当たり前か。
私の気持ちを理解してくれて、
一緒にいたら安全だから大丈夫。
そんな言葉をかけてくれた。

今までは、クラスから眺めたり、
帰り道5分の距離を少しの会話
それだけで嬉しかったのに、
彼との関係が深くなっていくことに
すごく幸せを感じていた。

彼のお家に着いた。
何もないけど、なんて言って
私をお家に入れてくれた。

彼のお部屋には、サーフボードが二つ。
彼は日本語を話せないのに、なぜか
進歩って書かれた習字が飾られてて、
他にも陶芸で作ったお皿とか、
自分の好きなものでお家が満たされてるんだなって思った。

驚いたのが彼の部屋にはベットがなくて、
代わりにお布団で寝ていた。
横には、ウサギのぬいぐるみと
彼が読んでるのであろう本が何冊か。

私もクマのぬいぐるみと本が自分の寝室に
置いてあることを思い出した。
なんだか面白くて笑ってしまった。

彼がお香を取り出して、
とても居心地の良い香りと
好きな人の空間に癒された。

彼が棚から、トラベルブックを取り出して、
今までに訪れた国とか、小さい頃の写真。
思い出たちをたくさん話してくれた。
たくさんのフランスの美術館のチケットと、
そのときの航空チケットが挟まれてた。
小さい頃の写真は可愛すぎて、
会ってみたかったなと少し思った。

お布団に横になって、二人でいろんな話をした。
しょうもない話が楽しい。
小さい頃にお風呂でたくさん揺れて、
水に抵抗する遊びした?そんな変な質問をしたら、
当たり前。って返ってきて、
お布団で寝てる時、急に逆方向で寝たくなって。
そしたらすぐ眠れる時ない?そう聞いたら、
僕もよくやるよ。
思わず、笑顔が溢れた。

そんなたわいもない話をしてたら、
彼の清らかな瞳が私のことを写した。
時間が止まったように感じた。
彼の目は綺麗なグリーンで
光と混ざってとても綺麗だった。
彼がそっと近くに来て、私の腰に手を回した。
優しく引き寄せた。二人の心臓は共鳴し
彼らの顔が近づき、唇が触れ合う瞬間、
空気が甘く充満した。キスは柔らかく、しかし情熱的だった。
二人の空気感がゆっくりと流れていく間。
私の心は幸せで溢れていた。

彼は、キスの途中で突然止まって座った。
私は、なぜ止めたんだろうと不思議に思い、
彼に聞いてみた。
すると彼は、急ぐ必要はないと思うし、
私たちの関係がまだはっきりしてないのに、
これ以上進めるのは違うと思う。
言葉数は少なかったけど
私は彼の心がはっきりと読めた。

ゆっくりのペースで僕たちの関係を
進めていこう。そんなふうに私のことを大切にしてくる
人は今までいなかった。
なんて紳士なんだろと思った。

私たちは、その先をする代わりに、
キッチンに向かった。
彼がお腹が減ったと言って
卵をフライパンに破り始めた。
ハウルの世界に迷い込んだ気分で、
幻想的な空間、つい踊りたくなった。

私はハウルと動く城のBGMを流した。
二人でジブリの曲を流して、踊った。
愛情を共有した気分で、彼とのダンスはとても楽しかった。
二人とも全然得意じゃなくて、不器用だけど。
それがまた楽しかった。

彼との時間はあっという間で、
お別れするのが寂しかった。
でもそれよりも心がとっても充たれて、
充実した彼とのデートだった。

私が思っていたより、彼はジブリの世界から
出てきたみたいな人だった。
彼といるとまるで魔法にかけられたような気持ちになった。

彼に次に会えるのはいつなのだろう。
そんなときめきを抱えながら、
気づいた時には恋に落ちている自分を
少し恥ずかしく思いながら、
彼にお別れのハグをして、お家に帰った。

続く。。。


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