50歳までの断捨離 天命は使命ではない
論語
論語にこのような一説があります。
これを私はぼんやりと「自分の使命(=成すべきこと)が分かる」ということだと思っていました。ですが、つい先日ある本を読んで勘違いしていたことに気付かされました。
チャンネルユニコ
当社で配信しているチャンネルユニコでも論語の回は人気があります。それと合わせて7つの習慣やアドラー心理学も再生数が多いコンテンツ。それだけ多くの方が興味を持つ内容だということでしょう。
中村天風さんの言葉
勘違いに気が付いたある本とは中村天風さんという方の本。明治から昭和にかけてメンターのメンターと呼ばれ、松下幸之助さんや稲盛和夫さんといった多くの経営者に影響を与えた哲人です。
私は小学生の時分にくよくよと悩む癖がありました(今も変わらん(笑))それを見かねた母が中村天風さんの本を読むように勧めてくれたのを覚えています。ってか今考えると小学生には難しすぎませんかお母さん?というのは一旦こちらへ置いといて。
天命と宿命
中村天風さんの本には以下のようなことが書かれています(意訳です。ご了承ください)
天命は己の使命ではない
天命とは生まれた時代やどの両親に生まれたか、自分の身長や顔つきのことです。つまりどうやっても変えることができないことを指してます。顔つきは美容整形できるじゃない?と思うかもしれませんが、これは後ほど説明します。
天命を知ることは"明らめ"を知ること
天命をどうやっても変えられないものと捉えるのであれば、論語でいうところの天命を知るというのは一体どういうことなのでしょうか。
私はこれを、世の中の理(ことわり)と自身の変えられないものをうまく擦り合わせ「できること」と「できないこと」を"明らか"にすることなのではないかと思ったのです。
宿命は行動で変えることができるもの
一方で宿命は「自分の行動で変える・乗り越えることができるもの」を指します。
例えば仕事の場合。
当社はIT業を生業としているのですが、その中で様々なスキルを磨きます。ですが世の中にはいわゆる天才と呼ばれるような素晴らしい仕組みを生み出す方が大勢いらっしゃいます。私なんかは全く及びません。圧倒的な能力の差を痛感したり新しい技術の習得に行き詰まったりはしょっちゅうです。
ですが、そこで頑張って超えていくのも、まあいいかと思って一旦放置することも、思い切って別の職種に就くことも全て自分の行動次第でどうにでもできます。
生まれた時代を変更したいとか別の両親に生まれたかった。それに比べれば何とかできる可能性があって、考え方を変えてみたり、実際にやってみたりするのは誰でもすぐにできることです。
大切なのは変化への反応
動物には本能的に(生体)恒常性というものが存在します。外界が絶えず変化をしたとしても体内の状態を一定に保とうとする機能。ホメオスタシスという言葉でご存じの方もいらっしゃると思います。
これは肉体的な機能なのですが精神面へも影響していることは実感できるのではないでしょうか。
不満の多い昨日までの生活を変えることよりも、我慢して不満の多いままでいることを選ぶ。
ここだけ切り出すと少し不思議に思えますが本能としてはまっとうな判断ということにないります。
だからと言って本能に従っているととんでもないことが発生します。なぜならこれまでと異なる重要な変化を見逃しているからです。
外界の変化速度の違い
外界の変化はこれまでにない程のとてつもない速度で変化を始めています。
例えば電波。約150年前には発見されていませんでした。
皆さんが持っているスマホ。これはここ20年ぐらいで急激に普及し一気に世界を変えたものです。また現代の子供たち(男児)が将来なりたい職業にはユーチューバーやプロゲーマーがランクインしています。自分の子供がユーチューバーになりたいと言ったらどうしましょうか。
働き方も変わる
営業でお客様へ訪問するときはGoogleマップで当日場所を調べます。知らない土地でお昼ご飯を食べる、目的地付近の喫茶店を探すなど皆さん当たり前にやっていると思います。
速くなる強制スクロール
これだけ変化の速度が速いと昨日までの安定は今日の安定とは違うものになる可能性が高くなります。1日は大げさに思うかもしれませんがその速度は20年、10年、5年とどんどん短くなってきています。
実は飽きっぽい方がいい?
そのためにも変化に対する抵抗感を持たないようにしておく必要があります。むしろ変化の方が正しい選択と判断できるような感覚。
これは転石苔むさず(ローリング・ストーンズ・ギャザーズ・ノー・モス)という言葉と似ています。
美容整形はダメのか?
どうにも変えられないものを何とか変えたいと思う人もいます。例えば美容整形。
美容整形を否定したいのではありません。毎日コンプレックスに悩む(※1)よりも施術して気にならない日々を送る方がよっぽど健全だと思います。
ですがポイントは※1です。この考え方を変えられないままでよいのでしょうか。※1を変えられないままでいるとある個所を美容整形したら次は別のところが気になり、どんどんエスカレートして際限がないのではないかと思うのです。
誰にだってそんな頃がある
もちろん私だってできれば高身長・イケメンで髪がフサフサな人間に生まれたかったです。ですが残念ながらそうではありません。
そんなコンプレックスを抱えながら年齢と経験を重ねていくと徐々にですが心のベクトルを反転させることができるようになってきました。するとより大切なことあるのではないかということに気が付きました。
私は明らめることを覚えた
仕方のないことを受け入れてしまい、仕方のあるところで何ができるかを一生懸命に考えることの方がよほど世のため人のためなのではないか?
そうやって活きいきとしている人はとても魅力的に見えませんか?
そしてこの「心のベクトルを自から他へ切り替える」ことができるようになる或いはできるようになっていなければいけないのが50歳ぐらいだと論語には書かれているのではないでしょうか。
心の水面を自分で乱してはいけない
自分で自分を追い込んでいると常に心が穏やかではありません。瞬間刹那の些末なこと事ばかりが気になり大局を見失います。これでは周囲の気遣いや思いやりに気が付くことはできません。
それでも天命を変えたくなるのは何故か?
一時家系図を作ってくれるサービスが注目を浴びたことがあります。これも天命を何とかしたいと思う行為だと感じます。ではなぜ人はそうまでしてどうしようもないことを変えたいと思うのでしょうか。
私はこの行為を宿命に挑むことからの逃避だと考えています。これはアドラー心理学の「嫌われる勇気」からの逃避と等価だと考えています。
つまり「面倒」なわけです
宿命が乗り越えられるものだとすると当然その壁に阻まれたときは立ち向かわなければいけません。ですが立ち向かうときには自分の拙さを痛感したり、結果を受け入れたりする覚悟が必要となります。有体に言えばその数多の出来事や心の動きが「面倒くさい」のです。
それは目的を見失ってしまっているから
最初はそうでなかったかもしれません。ですが年齢を重ねるごとに「またか」と思い、そのうち「もう嫌だ」「何をやってもうまくいかないのだから」「どうせ結果は同じ」「自分なんて」と思ってしまうのではないでしょうか。
そうなってしまった時に、これまでどうしても変えられないと思っていたものが変えられるとしたら・・・。それが実現できればこれまでがんじがらめだった呪縛から解放され、刹那的な快感を得ることができるのではないでしょうか。ましてこれまで自分の中で大きな壁だったものが動いたり、取り払われたりするかもしれないわけですから。
刹那は所詮刹那
ですがそれはあくまでも瞬間的なものです。
家系図を作った。自分の祖先はなかなかに立派な人だと分かった。自分にもその血が流れている。だから自分もそんなに悪くない人生を送ることができる。
本当にそうでしょうか?
立派だったのはあなたの祖先でありあなたではありません。ましてや家系図ごときで自分の何かが決まるというはあまりにも自分の価値が低すぎませんか?
大切なのは天命を明らかにし、折り合いをつけ、自分の宿命に対して向き合いながら、
ではないでしょうか。
さあ、明らめて自分の使命へ
天命が使命ではないという考え方はいかがでしたでしょうか。このことに気が付くと「頑張らないといけない」状態にならざるを得ません。
これはアドラー心理学の「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」つまり「面倒な事へ真正面から取り組む」ということなのではないか考えています。そして一番の面倒は「人間関係」だとアドラーは言います。
これは人生のゴールではなく、むしろネクストステージへのスタート地点。さあ次のステージではどんなことが起きるのか。
ワクワクしながら生きている人とそうでない人。あなたはどちらの人に惹かれますか?
まとめ
運命は「天命」と「宿命」である
天命は生まれた時代やどの両親のもとに生まれるかなど、どうしても変えようのないもの
宿命は自分で乗り越えて変えていけるもの
天命を変えることに時間やお金を使うよりも宿命に打ち勝つために時間やお金を使おう
天命と折り合いをつけることが論語の言う「50にして天命を知る」ではないだろうか
目的は自立
自立とは自分にかかわるすべての人を笑顔にすること
天命を明らかにして本当の使命を見つけよう
いかがでしたでしょうか。この内容は2022年10月14日(金)のチャンネルユニコで生配信&アーカイブしますのでお楽しみに。
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