世界一しょぼいタイムスリップ　#毎週ショートショートnote

とある休日。
息子と2人で出かけてくれた夫に、「薬局とか行ってくる」と告げ、近所のコーヒーチェーン店へ向かった。
買い物もするが、申し訳なく感じる。一方、普段の育児や家事の状況からすればこれぐらい…と、葛藤するうちに着いた。

ここに来たのは、期限間近のクーポンがあったのと、息子の幼稚園の先生へ手紙を書くためだ。
少し先の季節の花にちなんだケーキとドリンクを傍に、ペンを走らせる。

クーポンは、お正月に親友と別の店舗で語らったときに応募した企画で当たった。
園の行事や先生との立ち話は、いつも楽しく、時折目も潤む。ゆえに、つい書きたくなる。

ふと店の外を見てみると、地面の雪が桜の花びらになっていた。

「あれ？」と目を閉じ、開いてみる。
やはり、地面は真っ白でしかない。

ただ、冷え切っていた身と心は温まってきたようだ。

場所も時間も行動も、些細なもの。
でも、私には貴重なひととき。

店を出て、100円ショップへ歩く。
薬局は、明日がお得な日だ。

(410字)

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久々に、こちらの企画へ参加させていただきました。