ときめき・ひらめきの書
紅葉から何ができるだろう。
唐揚げが紅葉に見立てられるなら…。
ミニチュア写真家・見立て作家 田中達也さんの「みたてのくみたて」をちょうど読み切ったところだったゆえか。
今回のシロクマ文芸部の企画のお題を見て、そう考えずにはいられなくなった。
いつ出逢ったかは覚えていないけれども、田中さんのミニチュアアート作品が大好きだ。
新作は毎日見るし、絵本や、ご本人や作品の掲載誌も持っている。
行けそうな場所なら展示も見に行くし、常設展示がされている神戸空港にも行ったことがある。
田中さんの作品なら老若男女問わず楽しめるから!と、家族や友人にも「布教」してまわっている。
「みたてのくみたて」には、田中さんの発想の秘訣が詰め込まれている。
詳細は本書をお読みいただくとして、個人的感想を記してみる。
みたてのアイデアは、立体のアート作品に限らず、イラストや小説、説明資料や商品開発にも活かせるように思う。
「統一」と「敢えて見せる」という田中さんの徹底した収納・整理術も、作品作りのみでなく、私たちの日常生活においても参考になりそうだ。
また、子どものごっこ遊びについて言及されている箇所にあった
も、まさにその通り!となった。
未就園児だった頃から、息子がおもちゃや身の回りのものを別のものに見立てているのを、よく目にしているからだ。
むしろ、子どもの方がありものを駆使することに長けているのでは?とも思えてならない。
そして、田中さんのお人柄が最も表れていると感じたのは、海外を訪れる醍醐味について述べている箇所。
時折、平和や戦争をテーマとした作品が登場する。
そのすべてに、じんと沁みて深く考えさせられる重厚感があるのは、田中さんの言葉に嘘がないことの何よりの証拠だと思う。
ミニチュアアートとメッセージに感化され、周りの世界がもっと自由に、もっと楽しく見えてくる。
田中達也さんをご存知だった方もそうでない方も、是非読んでみてはいかがだろうか。