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ときめき・ひらめきの書

紅葉から何ができるだろう。
唐揚げが紅葉に見立てられるなら…。


ミニチュア写真家・見立て作家 田中達也さんの「みたてのくみたて」をちょうど読み切ったところだったゆえか。
今回のシロクマ文芸部の企画のお題を見て、そう考えずにはいられなくなった。



いつ出逢ったかは覚えていないけれども、田中さんのミニチュアアート作品が大好きだ。


新作は毎日見るし、絵本や、ご本人や作品の掲載誌も持っている。

行けそうな場所なら展示も見に行くし、常設展示がされている神戸空港にも行ったことがある。




田中さんの作品なら老若男女問わず楽しめるから!と、家族や友人にも「布教」してまわっている。



「みたてのくみたて」には、田中さんの発想の秘訣が詰め込まれている。
詳細は本書をお読みいただくとして、個人的感想を記してみる。

みたてのアイデアは、立体のアート作品に限らず、イラストや小説、説明資料や商品開発にも活かせるように思う。

「統一」と「敢えて見せる」という田中さんの徹底した収納・整理術も、作品作りのみでなく、私たちの日常生活においても参考になりそうだ。


また、子どものごっこ遊びについて言及されている箇所にあった

見立ては人間に本能的に備わった、よりよく生きるための知恵

田中達也 (2024). みたてのくみたて ダイヤモンド社 pp62-63


も、まさにその通り!となった。


未就園児だった頃から、息子がおもちゃや身の回りのものを別のものに見立てているのを、よく目にしているからだ。

むしろ、子どもの方がありものを駆使することに長けているのでは?とも思えてならない。

赤ちゃん用クレヨンが…!


アイロン台の裏から取れたゴミが…!


道路になりました


ロールケーキ!


そして、田中さんのお人柄が最も表れていると感じたのは、海外を訪れる醍醐味について述べている箇所。

見立て作家の私は、日本と共通している部分ばかりに目がいってしまいます。
違いに着目するよりも、同じ部分を探す方が、人間どうし共感しあえるでしょう。
世界共通のものや出来事を扱うと、言語の壁を越えたアイデアが生まれやすくなります。

同 pp140-141


見立ての発想法があれば、「It's Small World」の歌詞のように、「世界はおなじ」であると気づくでしょう。

同 p.141


時折、平和や戦争をテーマとした作品が登場する。
そのすべてに、じんと沁みて深く考えさせられる重厚感があるのは、田中さんの言葉に嘘がないことの何よりの証拠だと思う。



ミニチュアアートとメッセージに感化され、周りの世界がもっと自由に、もっと楽しく見えてくる。

田中達也さんをご存知だった方もそうでない方も、是非読んでみてはいかがだろうか。


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