【短歌一首】 高さ:距離読み間違へて歩けどもスカイツリーに着かぬ冴ゆる午
東京都墨田区の押上に用事があり、JR総武線の錦糸町駅で東京メトロ半蔵門線に乗り換えて押上駅まで行こうと考えていた。
錦糸町駅の北口改札を出ると東京スカイツリー(634m)がよく見えた。そういえば押上駅がスカイツリーの最寄駅。 わざわざ電車を乗り換えずとも、天気も良いのでスカイツリーを目標に歩いて押上を目指す。
過去の様々な経験から体に染み付いている自分の距離感覚からすると、スカイツリーまではスタスタ歩けば7、8分くらい、せいぜい10分あれば辿り着くだろうとタカを括っていた。
どうやらこの道は「タワービュー通り」と言うらしい。確かにスカイツリーがテッペンから根元の方までよく見える道。
タワービュー通りをひたすら真っ直ぐ歩いていく。名前からすると観光客などがたくさん歩いていそうな響きだが、地元と見られる人に会う以外、ほとんど人とすれ違わない。
タワービュー通りの周りには住宅や商店などが並び、下町の雰囲気が漂う静かなところ。少し歩速を緩めて街の雰囲気を味わいながら歩く。
それはそうと、当初の目論見とは異なり、なかなかスカイツリーとの距離が縮まらないような気がする。
また大通りの交差点に差し掛かった。信号待ちが結構長く、だんだん時間が気になってくる。
最初は7、8分かなと思っていたが、すでに10分以上経過している。押上に着いてから用事の場所も確認しなければならない。 ちょっと焦ってきた。
スカイツリーがあまりにも細く高いので、完全に距離と所要時間を読み間違えている。しかも雲一つない快晴なのでとても近くに見えていたのも敗因の一つ。(後でネットで調べたら、錦糸町から歩くと15〜20分かかるとあった。)
体を動かした汗と焦ってきた冷や汗に、冬の真昼の空気がひんやりと沁みてくる。
猫間英介