
【短歌一首】 陰の街富士を湛へて澄み渡り蒼きしじまに巳年迎へり
陰の街
富士を湛(たた)へて
澄み渡り
蒼きしじまに
巳年迎へり
2025年1月1日。 元旦の夕暮れは毎年とても静かだが、今年の元旦はとりわけ静かだった。

西の空を見ていると、富士山が雲と同じ深く蒼い影となって街並みの彼方に浮かんでいる。

普段の同じ時間帯よりも街の灯りがずっと少なく、街全体がしんと静まっているように感じる。お正月で帰省している人が多いのかもしれない。
街並みの黒い陰影、はるか西の空の蒼い雲と富士山、日没の残照のコントラストが澄み切った空気の中でとても美しい。

巳年最初の日の入りは、ひたすら蒼いしじまの中にあった。
本格的な寒さをこれから始まる。
猫間英介