【短歌一首】 花の無き冬の藤棚薄き日を透かし包める七五三の子
11月15日を中心として11月中旬は七五三の季節。
東京都江東区亀戸にある亀戸天神でも、平日ではあったがいくつかの家族が子供の七五三で亀戸天神に参拝していた。
亀戸天神は、亀戸の住宅街の中にある敷地は小さめながらも天神様(菅原道真公)を祀った1662年に開かれた古式ゆかしき神社。
亀戸天神には四季折々の木や花が見られるが、特に有名なのが藤。毎年4月中旬から下旬にかけて「藤まつり」が開催される。
4月の中旬から、境内の藤棚に藤の花が一斉に咲き始め、池の水面に写る姿と淡い香りが多くの人々に好まれて、‘東京一の藤の名所’と言われている。
また、夜の境内では夜の静寂の中に灯りに照られた藤の花が池に映って揺れている姿はとても幻想的で優美。
1990年代に亀戸に職場があった時には、夜仕事帰りに立ち寄ったりもした。
初冬となった今、藤の花を見ることはできないが、都会の住宅街の中で境内に藤棚と池がある佇まいは、幽玄で落ち着いた別世界にいるような感じがする。
七五三で訪れている家族たちが、藤棚や池を背景に盛んに写真撮影をしている。子どもたちの鮮やかな着物の色が、藤棚や池の緑と相待ってとても美しく映える。
この日はどんよりとした初冬の肌寒い曇り。
それでもときおり午後の太陽の薄日が、七五三を祝福するかのように藤棚の隙間から降り注いでいた。
猫間英介