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【短歌一首】 横須賀のドックを抜くる潮風は鉄錆の味微か運べり

横須賀の
ドックを抜くる
潮風は
鉄錆の味
微か運べり

久しぶりに横須賀へ来た。
JR横須賀線の横須賀駅を降り、海沿いの道を港へ向かう。

横須賀の港には米軍の基地があるため、昔からアメリカ色のとても強い街。

停泊中の軍用艇
停泊中の軍用艇

港近くは冷たい強い風が吹いている。特に11月7日の立冬を境にして関東地方も急激に冷え込むようになった。木枯らしの中に停泊している軍用艇の灰色が、冷たい重厚感を放っている。

船を補修するためのドック

冷たい風に急き立てられ、体も冷えてくるので、どうしても早足になってしまう。

船の建造、メンテナンス、検査などを行うドックから、鉄を叩く音や機械や工具の唸るような音が聴こてくる。

潜水艦

ドックには真っ黒な潜水艦も停泊している。日常生活において潜水艦を目にすることなどないので、基地のドックとはいえ、その艶消しの黒い無機質な艦体は周りの光景からはかなり浮いており、独特の威圧感がある。

港そばの複合商業施設

海沿いを歩いて港の一番奥にある複合商業施設までやってきた。

磯の匂いと、商業施設からの食べ物の匂いと、ドックや船から流れてくると思われる重油や薬品のような匂いとが相俟って、独特の匂いが漂っている。それはどこか鉄錆を思い出させる匂いで、時間とともに味覚にも沁みてきた。

猫間英介



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