【短歌一首】 澄み渡る台風一過の朝 雲は迷ひ漂ふ夏秋どちらへ
8月17日(土)の朝。
台風7号が去った後の東京の朝は、空が青く澄み渡り、切れ切れの雲も高い位置にある。昨日までの重苦しい大気が嘘のように晴れ渡った。
台風7号の接近に備えて家の中に取り込んでいたベランダの物を戻す作業をしていると、暑い中にもどこか涼しげな風が体を通り過ぎてゆく。
前日は朝から叩きつけるような雨が降り、街も霞み、一日中雲の中にいるような感じだったから、まさに台風一過の朝。
濃い青色と水色のクラデーションの空に千切れた雲がゆったりと浮かぶ。昨日までの雨を降らせた黒い雨雲の名残りか、一部の雲は濃い灰色や紫色をしている。
一方で白い雲は、一部は入道雲のようであり、一部は高い位置にうろこ雲を形成している。
西の空にはスカイツリーだけではなく、富士山がくっきりと見える。ここから富士山の輪郭がハッキリ見えるのは秋から冬の晴れ渡った日が多いが、夏の季節は湿気が多いのでほとんど見えることはない。よほど空気が澄んでいることの証左。
空の色、空気の澄み具合からは、台風一過で秋に一歩近づいたように感じる。
しかし、気温はまだかなり高く日差しも強い。 天気予報ではまた猛暑日となるとのこと。
一番はっきりしないのは雲。高い位置にあるうろこ雲や刷毛で掃いたような雲はすでに秋の気配。一方、入道雲や灰色の雲はまだまだ夏。
まるで行く夏を名残り惜しむ気持ちと、来る秋を待ち侘びている気持ちが綯い交ぜになっているようだ。
猫間英介