【短歌一首】 夕焼けを後光に列車ゆるり来て終着駅に帷下ろせり
短歌は天候観察セラピー。
駅の改札を出て外へ向かう渡り廊下で、まぶしい夕焼けが目に飛び込んできた。見ると遥か彼方の夕日のど真ん中から列車が現れ、ゆっくりと、さらにゆっくりと駅に入ってくる。終点の駅に入る列車はどこかほっとしたような感じで、カタン、カタン、ダダッ、チチッと、その音の速度をどんどん遅くしながら駅に入ってくる。
まばゆい夕焼け空には、その中心に丸い太陽がある。まぶしいなあ、と思いながら見ていると、ゆっくりと入ってきた列車が駅のホームに止まるころには、すでに肉眼で夕日の輪郭をかなりはっきりと捉えることができた。なんという、落陽の速さ。
そういえば、よく夕焼けがきれいだなと思ってシャッターチャンスを狙っていると、あっという間に陽が沈んでいくので焦ってしまうことがある。
駅を出て歩くとすでに日は沈み、手前が暗く、遠くの残照が明るい、「逢魔が時」。この時間帯は交通事故が多いと言われるから、要注意。ドライバーが遠くの明るさに気を取られて、手前の通行人を見落としやすいからだろう。
夕焼けをじっくり見ることができたということは、その時間帯に自分がそれなりに安らいでいられたことの裏返しでもある。 大自然は毎日素晴らしい営みを行っているのに、仕事や悩みで心や時間に余裕がないと見逃してしまう。それはもったいない。
猫間英介
3月16日も夕焼け&逢魔が時の歌を詠んでいました。