【短歌一首】 炎天に聖橋より焦がるるはつかのま出ずる地下鉄の赤
猛暑日の午後2時ごろにJR御茶の水駅の聖橋(ひじりばし)口から外に出た。
うだるような暑さの中でわざわざ聖橋を歩くのには大きな目当てがある。
それは聖橋から秋葉原方面を臨む景色が素晴らしいから。
聖橋の上から秋葉原方面を臨むこのスポットは、いつ来てもとても魅力的。右手にはJR御茶の水駅があり、橋の下を流れる神田川の水面にいくつもの橋や川沿いの緑が映り込む。
そして、向かいのアーチ型の緑の橋をとおり御茶の水駅を行き来するJR中央線(オレンジのライン)とそれと並行して走りながら中央線の橋の下をくぐるJR総武線(イエローのライン)。中央線と総武線が橋の近くで交差して走る姿は鉄道マニアでなくてもとても惹かれる。
それらがビルの街並みと相まって、素晴らしい景色を織りなしている。
そして、その素晴らしい景色のど真ん中の鉄橋を行き来するのが、東京メトロの地下鉄丸ノ内線。丸ノ内線はほぼ全線が地下を走っているが、都心部の地形の起伏の関係でいくつか短い区間地上に出てくるが、この御茶ノ水 - 淡路町間の神田川橋梁もその一つ。
いつも聖橋付近に来ると必ずといって良いほど、橋の上で一旦立ち止まり丸ノ内線の鮮やかな赤い車両が姿を現すのを待っている。ほぼいつも、ものの10分もあれば車両を見ることができる。普段は結構な数のカメラを持った鉄道ファンらしき人を見かけるが、この日は猛暑で誰もおらず、炎天の中一人で待つ時間がやけに長く感じられる。
ついに丸ノ内線の赤い車両が車輪を軋ませる音と共にゆっくりと姿を現した。炎天下に丸ノ内線の赤が本当に映えて美しい。駅も近いのでこの地上区間を走るスピードはかなり緩やか。そこがまたいい。
なお、この車体および路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「スカーレット」という。スカーレットは深紅色とか緋色とか言われるがが、いわゆる真っ赤。エレガントな優美さが漂う。
淡路町駅方面に向かう左の車線の車両がまた地下に戻っていったので聖橋から立ち去ろうすると、今度は地下鉄御茶の水駅に向かう反対車線からもスカーレットの車両が姿を現した。これはラッキー、嬉しい。暑さはひとまず忘れて反対方向の車両が地下に戻るまで観察することにする。
丸ノ内線のスカーレットの車両が姿を消して、トンネルと橋だけが残る。
聖橋からの素晴らしい景色と丸ノ内線のスカーレットに魅了され、しばし暑さを忘れていたが、聖橋の大理石の手すりはやけどするレベルにまで熱くなっていた。
猫間英介
以前にR総武線の御茶の水駅の次の駅の秋葉原駅前近くの橋から聖橋方面を眺めた時の写真。こちらは低い位置から。
聖橋のアーチと丸ノ内線のスカーレットが美しい。