【短歌一首】 上水の水面を渡る薫風に頬撫でられて緑萌え立つ
短歌は季節セラピー。
雨の日と晴れの日を繰り返して、青葉はどんどん成長中。
そして、川の水と一緒になるといっそう鮮やかに映える。
光と水から栄養を得て、さらに川面を渡るそよ風に撫でられて、新緑はすくすくと育ってゆく。
頬を撫でてゆく風が本当に心地よい。
JR総武線の水道橋駅そばの水道橋から神田川(神田上水)をのぞくと、川の横手に穴のような、トンネルのようなものが見えた。水道橋にはよく来ているのに、今回初めて気づいた。これは「分水路」というものらしい。
分水路とは、大雨による川の氾濫を防ぐため、川幅を広げる役割を持つ治水施設のこと。神田川には4つの分水路(高田馬場分水路、江戸川橋分水路、水道橋分水路、お茶の水分水路)が整備されていて、分水路の水を取り込む入り口を「呑口」(のみくち)、分水路から本流に合流する口を「吐口」(はきぐち)というらしい。(呑んでは、吐く。なんか、酒飲み用語のような響き。)
横の空洞は、水道橋分水路の吐口であり、お茶の水分水路の呑口でもある。
これはちょうど橋の下を通ってゆくクルーズ船から、添乗員が大きな声で説明しているのが聞こえてきた。(橋の上から、ただ乗り、ただ聴き)
最近、ただ街を歩いていても、自分の中の新緑に対するセンサーがマックスに働いているようだ。全く意識していなくても自ずと新緑に目が止まり、それに引き込まれ、立ち止まって眺めてしまう。これまで水道橋に分水路なるものがあることや、分水路の呑口、吐口などという言葉も全く知らなかった。 新たな見聞も新緑のおかげ。
猫間英介