【短歌一首】 水鳥も温め合ふや寒空に群れて川面の波に揺蕩ふ
やや曇りの冷え込んだ日に川縁を散歩していたら、水鳥たちの一群がいるのが見えた。
川の流れはわりと穏やかで、ときおり柔らかく横波が揺れている。
人の気配を察するといきなり水面から飛び立つこともあるが、この日はどこか警戒心が緩んでいるように見えた。近づいても驚く様子もなく、ゆったりと水面に揺れている。
水鳥たちは自然に起こる川面の動きにひたすら身を任せて揺らいでいる。ほとんど能動的に動く様子は見られない。
夕暮れが近づいてくる川は、気温は寒いが凪の状態で少し春の気配あり。
水鳥たちは川の水面でじっと群れながら、冬の底を乗り切るためにお互いを温め合っているのかもしれない。
猫間英介
生き物の短歌を集めました。