見出し画像

読んだ:過去の握力 未来の浮力 あしたを生きる手引書 ジェーン・スー×桜林直子著 マガジンハウス


Podcast 「となりの雑談」が書籍化
Podcastは最近また追い始めて、EP.85まできました。
聞くだけより、目で見て、耳で聞いたほうがより理解できるから書籍化うれしいな!と楽しみにしていて、発売日に購入して読みました。

「となりの雑談」はスーさん(ジェーン・スー)とサクちゃん(桜林直子)、考え方の全く違う二人が送る雑談Podcastです。

たとえば目の前に10個の扉があったとします。私は次から次へと開けていくタイプ。扉を開ければ、その先にまた新しい扉が用意されていると無条件で信じているからです。<中略>ところがサクちゃんは、そう思わないと言う。ひとつの扉を選んだらそれ以外の扉は消滅しちゃうって。え?消滅?それってどういうこと?

本書 スーさんはじめにより

同じものを見てもこれだけ考え方、受け取り方が違う二人。Podcastでも「え?それってどういうこと?」が繰り返され、「たとえば…」と例を出して話を相互に理解していく様子は、自分が見えてる世界と他人が見ている世界はこれほど違うのかという発見の連続です。

わたしはサクちゃんに共感できることが多く、扉をあけたら他の扉は消えてしまうと思うタイプ。次から次へ扉が開けられるなんて考えたこともありませんでした。

私の母親は心配性で何かにチャレンジしようとする私に「ゆかは体力もないし、できないんじゃない?」、何かを自分で決めても「なんでこれにしたの?」「なんで⚪︎⚪︎にしなかったの?」と、それを選んだことを否定するようなことを言う人でした。なので、幼い頃から「自分が⚪︎⚪︎したい」と思うことよりも、母親が納得しそうな方を選ぶ癖がついてしまいました。つまり、自己決定において、自分の意見や意思よりも母親の意見や意思を尊重した経験の方が多かったのです。
一人暮らしを始めた時に、ようやく自己決定の練習が始まりました。何を食べて、何を着て、何にお金を使って、何をして過ごすか、全て自分で決められる。一人暮らしを始めてしばらくしても「母親ならこう言うだろう」が頭から離れないこともありましたが、少しずつ矯正して自分のことは自分で決められるようになったのでした。

それでも、困ったことに仕事では「さとうさんはどう思いますか?」「さとうさんはどうしたいですか?」と聞かれても、なんと返事をしたらいいのかわからないのです。最初は「経験値が低いからだ」「出世欲がないからだ」と思って、なんとなく周囲の意見に従っていました。最初はチームで仕事をすることが多かったので、なんの支障もありませんでした。
その後、職場の異動を経験して、個人で仕事をする機会が増え「おかしい」と思うことが増えたのです。具体的には、仕事の相談をしても、肩の荷が降りた気がしないのです。それは、相談をしても最後には「さとうさんがどう進めたいかによる」と言われているような気持ちがしたからでした。どうして、「こうすべきだ、と言ってくれないのだろう。どうしたいかがわからないから相談しているのに」とさえ思っていました。

そんな時、サクちゃんのプール理論を読んで、「これだ!私は人のプールで泳ごうとしていたのか!」と気がつきました。

プール理論とは、プールの枠を「わたしの領域」、プールの水を「興味や関心、欲、好奇心、楽しいという感情」として、自分のプールで泳ぐことを「自分が何をやりたいか、どこに行きたいか、人に委ねることなく自分で決めて行動すること」、に例えた理論。(本書P.63〜68を一部引用)

幼少期から母親との領域が曖昧で、一人暮らしを始めてやっとできた私のプールは枠はまだふにゃふにゃだし、仕事に対して興味や関心が薄いからプールの水はカラカラだし、私のプールは泳ぐことができないプールでした。だから、相談と言いながら人のプールを泳ごうとしていたのか。仕事もやらされている感ばかりで、達成感を感じていない理由も明白になりました。

自分のプールを泳がず、人のプールを泳ごうとしていた自分に気がついて、恥ずかしい気持ちさえしました。
それでも本を読み終わった時には、「自分のプールを泳いでいなかったことを責めることはないよ。人生の主役はあなた、未来は明るいから。」というメッセージをスーさんとサクちゃんから受け取った気分でした。

まだまだメンテナンスは必要だけど、枠がしっかりしていて、なみなみと水で満たされた自分のプールをすいすい泳いでみたいな。

おわり

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?