皇位継承問題と自生的秩序
「皇位継承問題」と言われるテーマがある。
現在の天皇家には男子が少なく、近い将来、皇位継承者がいなくなるのではないかという問題だ。
そこから、女性天皇や女系天皇の是非が問われている。
だが、こうしたイデオロギー対立に陥る前に必要なのは、ある種の楽観主義である。
天皇制は過去に何度も、存亡の危機を乗り越えてきたからだ。
古墳時代に後継者不在の危機があったが、天皇家の遠戚とされる継体天皇の即位によって乗り越えられた。
南北朝時代の天皇家の分裂も、足利義満によって合一された。
また、近世は長らく武家中心の社会だったが、大政奉還により天皇の復権が実現している。
アジア・太平洋戦争での敗戦のときは天皇制廃止もあり得たが、戦後は日本の象徴として生きながらえ、現在に至っている。
以上のように、天皇制は常に何らかの方法で危機を克服してきたのである。
あたかも、「自生的秩序」(ハイエク)が備わっているかのように。
国民が必死に干渉せずとも、天皇制の問題は天皇制それ自体が解決していくであろう。