バンド・デシネ、『博論日記』
フランスの漫画作品、ティファンヌ・リヴィエール『博論日記』(花伝社)は、博士論文に取り組む女性ジャンヌを主人公とするものだ。
作者も博士課程にいたが、中退した模様。
そのせいか、大学院生の苦悩が中心に描かれている。
主人公の研究テーマはカフカだ。
高尚なことをやっているのに身分が不安定という院生生活の不条理さが伝わってくる。
このあたりは多くの博論執筆者(とくに文系)の共感を集めることだろう。
本作品のラストは博論の口頭試問のシーンだ。
だが実は、その結果までは描かれていない。
もしかしたら不合格で、作者と同じく中退という可能性もありうるのだ。
私も過去に大学院に在籍していたが、そこで唯一学んだのは「自分を賢く見せようとすることの愚かさ」である。
私の周りでは学生も教員も例外なく、この「愚かさ」に陥っていた(もちろん私も)。
大学院ではそれでいいのかもしれないが、一般社会では「知識を披露しても楽しいのは自分だけ」という状況は多い。
訳者解説では、いわゆる博士漂流問題に触れられている。
これについての私の意見は以前、noteで述べた。
ややドライな内容だが、参考までに↓↓↓
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