佐高信による佐藤優批判
佐藤優は同志社大生時代、渡辺雅司というロシア思想研究者に教えを受けている。
渡辺はその後、母校の東京外国語大学に転勤し、その関係で佐藤が同学で講演を行ったことがある。
私も在学中、聴きに行った。
そんな佐藤だが、昨年『佐藤優というタブー』という批判本が出版されてしまった。
評論家・佐高信によるものだ。
奇しくも、佐高と渡辺は1945年生まれの同い年である。
「知の怪物」として持て囃されがちな佐藤が徹底批判されるのは新鮮で、たしかにタブーを破っている感はある。
本書において佐藤に関する記述は最初の4分の1程度で、そこだけ私は読んだ。
批判されているのは、佐藤がクリスチャンでありながら近年は創価学会を賞揚したり、マルクスに影響されながら新自由主義者・竹中平蔵を持ち上げたりしている点だ。
彼が創価学会や公明党を評価していることは私も知っていた。
けっこう、長いものに巻かれるタイプなのかと思った記憶がある。
あるいは自民党よりはマシで、なおかつ政権与党として自民党の暴走を抑えてくれると見込んでの戦略的なコミットメントに見えた。
佐高から見ると、佐藤はベストセラー作家であり続けるために創価学会の信者を読者として取り込みたいのだという。
また、佐藤は誰かに批判されることが苦手なので味方を増やしたいのだと書かれていた。
私としては、他人の矛盾や言行不一致に佐高ほど敏感ではないし、誰が誰を誉め称えようが基本的には自由だと思う。
しかし佐藤が言論人として最も異質なのは、イスラエルおよびシャロン元首相を擁護していることだろう(佐藤優『イスラエルとユダヤ人に関するノート』)。
イスラエルのパレスチナ攻撃を正当化する佐藤の論は、行きすぎた逆張りか自発的な思考停止と言える。
創価や竹中などとは比べ物にならない破壊者を彼は支持しているのだ。
この点は、佐高の本では触れられていなかった。
写真は、同志社大学の礼拝堂