ナポレオンが出てくる作品
今回は、ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)が登場する作品を紹介します。
フランス革命(1789)後に彼が始めた戦争は、ナポレオン戦争(1796-1815)と呼ばれています。
戦争の名前に個人名が入っているとは凄いですね。
まず、オンフレ・ド・ブレヴィルという画家による、陸軍士官学校時代のナポレオンの絵をご存じでしょうか?
実際に見て描かれたのではないと思いますが、一人残って勉強する姿と壁に映った大きな影が、その後の躍進ぶりを暗示しているようです。
革命後の第一共和政を守るために戦ったナポレオンですが、1804年に自ら皇帝となり第一帝政を始めました。
そして1814年に退位し、エルバ島に'島流し'されます。
ところが翌年、彼は島を脱出するのです。
その模様は、オーストリアのミュージカル映画『會議は踊る』(1931)に出てきます。
この作品は、ウィーン会議(1814-1815)が舞台。
ナポレオン戦争の戦後処理を行う会議なのですが、彼がいなくなり安心しきった参加者たちは舞踏会などに興じ、会議はなかなか進みません。
そんな中、オーストリアの外相メッテルニヒだけは一貫して自国の利益を追求し、虎視眈々と出世を狙っています。
そこへ、ナポレオンのエルバ島脱出が知らされ、お祭りムードは一変、メッテルニヒも愕然。
返り咲きを目論み奮闘したナポレオンですが、ワーテルローの戦い(1815)で敗れてしまいます。
そして今度は大西洋のセントヘレナ島に送られ、その地で生涯を終えました。
アンデルセンの『絵のない絵本』に、「セントヘレナの英雄」という言葉があります。
地上の全てを見てきた月は、晩年のナポレオンのことも見ていたというのです。
しかも、神話や物語の登場人物と並んで例示されていました。
慈愛に溢れるアンデルセンから「英雄」と呼ばれたのだから、不遇な晩年も無駄ではなかったのでしょう。