ただ生きているだけであなたは黒い白鳥『ブラックスワン下巻』
やあ、僕だよ。
実家には本が一冊もなくて、なかなか買ってもらうのも難しかった。
親が所有していないものの価値を子どもが説明したとして、素直に耳を貸せる親がどのくらいいるのだろう。
そういうわけで僕はもっぱら、図書館や中古書籍を利用してきたんだよね(友だちが少ないから、個人間での貸し借りの経験は少ない)。
最近はネット上で予約出来たり、コンビニで受け取れたりするので、かなり便利になってきてる。
でも、人気の書籍や最新版なんかは1ヵ月待つなんてザラで、半年待っているのに、あと30人僕の前に待っている本すらあるんだ。
最新版を読まなければ意味がないジャンルもあるからね、その塩梅が難しいのだけれど。
さて、今回の本は2009年に出版されたものでこの本の続きだよ。
僕の大好きなタレブさん渾身の一冊。1ヵ月近く待った甲斐はあったし、12年前だろうが面白いものは面白かった!
今日も君が楽しんでくれると嬉しいよ。
さあ、始めようか。
本作あらすじと感想
上巻では「ブラックスワン」とは何か、僕らがいかに「七面鳥」か、「果ての国」で「予測」をすることの無意味さについてタレブ節たっぷりに書かれていた。
下巻では「ガウス」の流儀やベル型カーブを引き合いに出し、「ブラックスワン」を無視する理由や「予測」の複雑さについて「エッセー」として詳しく書いている。
タレブさん曰く、ゲームは「プラトン性」を持ち、人生は「非プラトン性」を持つとのことで、市場は実際のところ人間同士の膨大なやりとりで作られているから「非プラトン」に寄る(特に「果ての国」では)のだ。
良い「ブラックスワン」の例として、「画家アペレス」の成功を挙げていて、失敗しても失うものがないものに関しては積極的に挑戦することの大切さを説いている。
これは『身銭を切れ』でもさんざ言っていたことで、適切な「リスク」を取ることがいかに良い「ブラックスワン」を引き寄せる(ただ、「ブラックスワン」はそこにいるだけなのだけれど)のかという話なのだ。
上巻と比べて本編は少なく、物足りなさはなくはない。
が、本質としては下巻が語るところなのだろうと僕は思った。上巻は前提だった。
お金の話は多いけれど、それだけに留まらない、世の中の見方が少しだけ変わる一冊。
ここまで来たら『まぐれ』も読むしかないなぁ。
ただ生きているだけでものすごく運がいい
終わりの部分に書かれていたその言葉は、上下巻に渡って結果に至るまでの複雑な過程や「ランダム性」について叩き込まれた後だったので、ちょっと感動してしまった。
(しかも彼はレバノン出身で内戦を経験している。「実践の人」としてはこれほど実感のある言葉もない。)
「あなた自身が黒い白鳥」。まさにその通り。
僕が生まれただけでもすごい確率だが、生き延び、あまつさえ子どもを孕んでいる。
無事に出産をやり遂げ、そして彼か彼女かが子どもを作る。どんな天文学的数字になるだろう。
でももっとすごいのはこれが有り得る話だということだ。
楽しい例え話
現時点で僕が人気イラストレーターや漫画家になることはない。
何故なら僕は絵を描いてないし、ましてや売ったり発表したりもしていないからだ。
でも、ベストセラー作家になることは有り得る。
何故なら僕は文章を書いて、発表しているからだ。
ごくごく低い確率だが、僕の記事を読み、お金になると判断した人が本を書かせ、Kindleランキングで一位を取るかもしれないということ。これが「ブラックスワン」である。
そして、一冊目だけでなく二冊目も売れることも、全くないとは言いきれない。
これらのアプローチで僕が億万長者になる、というのも有り得る。
しかし、宝くじを当てて億万長者になることはない。
何故なら僕は宝くじを買っていないからだ。
結局どれをどのように選択するかってこと
億万長者になりたいからnoteをやり、宝くじを買わないわけではない。
単に、noteは好きでやっていて、宝くじより投資の方が利回りが高いと思っているからそうしているだけだ。
「ブラックスワン」は見えない。人の信じやすいものにだけ懐疑主義を発揮することで、「鳥のフン」を見つける可能性はあるそうだけれど、現実問題僕以外の賢い人たちが出来ないようなことを僕が出来るとは到底思えない(とはいえ、やり続けはするのだが。「ブラックスワン」狙いである)。
なので、当面は「予測」に振り回されず、結果がどうであれ、今はっきりと見えている厳然たる事実を材料に判断することにした。
これは「迷った末に出した答えはどちらを選んでも、どうせ後悔する」考えにも似ていて、得られるものが変わらないなら、何を選んでもいいという話に収束する。
どちらかといえばそれを選択した理由が重要で、理由だけしっかりしていればどう転んでも破滅には至らない。
その理由に、破滅の可能性を織り込むのを前提として、だけれど。
投資哲学が面白いのはみんな必死だから?
僕が読んでいる本が全部名著だからかもしれない(浅学なので最新まで追いきれていないのだ)。
タレブさんは投資哲学というより、ただの哲学「エッセー」感は否めないが、ベンジャミングレアムやバートンマルキール、その他トレーダーや投資家の逸話や考え方は面白いものが多いように思う。特に彼らの世界の見方が面白い。
多分一回や二回、「あ、死ぬな」って思ったからだと思う。
人間、予期せぬ死に出くわして、それを乗り越えると何かしらを得る。ほら、バトルもののキャラも一回死んで生き返ると超強くなってたりするじゃないですか。
あれが「生き方」に反映されるんだよ、きっと。
必死さ、一生懸命さ、崖っぷち。
みんな大好きだよね。僕も大好き。「人の不幸は蜜の味」的楽しみ方より、生死を乗り越えた凄みに惹かれるんじゃないかなって思ってる。
だから、実際に投資してる人たちの哲学は面白い。投資をしたことのない経済学者の哲学はどうなんだろう。タレブさんはつまらないって言ってた気がするけど。
楽しむためにも、楽しませるためにも、一回死ぬ
という想定をしてみよう、今度。
人生を楽しむための死ぬ想定は前にしたから、楽しませるための想定を中心にするといいかもしれない。
今日は時間切れ。
腰と尻が爆発しそうなので仕方ない。
僕が僕として生きていること自体が黒い白鳥なのだ。
死ぬのなんてただの白鳥、いつだって出来る。
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