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#108 百鬼堂農園(40) 最高級の蕎麦を食す

 冬場の土壌改良を少しでも進めておきたい。畑はぬかるんでいるが、小さいダイコンをすべて抜いて畝をむりやり1本あけて、天地返しをやってみた。

 強力土起こしショベルは土に刺さるものの、ショベルについた泥がまったく落ちる気配がない。2回目、3回目と回を重ねて泥が厚くなり、ついにはほとんど刺さらなくなった。土を起こすごとに泥を落とすのも面倒なので、やはりある程度乾燥した日にやる必要があるということか。やはり泥はかなりの難敵だった。とはいえ、ショベルはやはり鍬よりはかなり深く土が起こせる。長期戦覚悟で使いこなしていきたい。

 手を洗ったり長靴の泥を落とすのに使っていた、近所の公園の水道が、凍結防止のため使えなくなっていた。仕方ないので雑草や軍手などでこそげ落とす。あまりにひどい時は仕方なく家の風呂場などで洗う。このしつこい泥を落とすのに、畑仕事と同等の労力が必要となる。

 サンタクロースがいるのなら、納屋と、納屋に隣接した洗い場と、高圧洗浄機が欲しい。いたとしても、こんなおじさんのところに来るわけがないか。小雪が舞う空を見上げる。年末に書きかけた文章ですみません。

 畝を空ける際に取り除いた、手のひら大の緑のダイコン(南東さんからもらった種で、ビタミン青首、みたいな名前だったと思う)と、収穫途中に折れてしまったネギは捨ててしまおうかと思ったが、惜しくなって持って帰った。

 余談になるが、新鮮なネギは土中でも折れた瞬間にぶわっと香りが広がる。車に入れておこうものなら、恐ろしくネギくさくなる。レジ袋に放り込んだネギを玄関に置いておいたら、家中に匂いが広がり、妻はすぐにベランダに移した。

 途中で折れたネギを洗ってざくざくと刻み、小さな青首ダイコンをまるまる1本大根おろしにする。どん兵衛天ぷらそば(緑のたぬきでも可)に、表面が見えなくなるほどどっさりと載せた。鮮烈な香りのネギはシャキシャキとして、甘みと辛味が爽やかだ。大根おろしも良い香りがして甘い。とんでもなくうまい。いやうまいよ、どん兵衛。

 これが新そばだったら香りが飛ぶかもしれないとか、野暮言っちゃいけねえ。これが贅沢というやつだ。折れたネギや捨てるほど小さいダイコンを無駄にしない、丁寧な暮らしというやつですか?ちょっと違いますね。てやんでえべらぼうめ。今期の大河ドラマ、面白いです。

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