#82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下
最近、畑に行くのは早朝で、さっとミニトマトなど収穫して虫にさされないうちに足早に畑を去る。滞在時間が短いため、同じ市民農園の方々とまったく会わなくなってしまった。周囲の畑をみれば手入れも収穫もされているようだが、少々さみしい。会って話を始めると長話になりそうなので、結果的には熱中症の危険を避けていることになるのだろうけど。
農関連の本についての続きです。
「百姓貴族」(荒川弘、ウィングス・コミックス、既刊8巻)
北海道の農家に生まれ、漫画家になる前は農業に従事していた著者による農業コミックエッセイ。これを読んで農業やってみたい、と思う人は皆無でしょうが、まあ面白いです。著者による「銀の匙」もぜひ。こちらは農業高校が舞台の作品で、著者の経歴を存分に生かしたまごうことなき傑作です。
「農ガール、農ライフ」(垣谷美雨、祥伝社文庫)
派遣切りに遭い、同棲相手から別れを切り出された32歳の女性が、農業に挑む、というストーリー。農政には暗いけれど、現代農業の負の部分も存分に書かれているように感じる。農地の賃貸や売買をめぐって、そんなひどい農家いるの?という疑問符はついたけれど、やはり過酷さや経営的な厳しさから、農業から足を洗う人が少なくないということなのだろう。
着眼点や女性ならではの視点が秀逸で、構成も巧みで面白いと思った。多彩なテーマに取り組まれる作家のようで、取材もかなり優れていると感じた。
ここnoteには意外なほど農業や家庭菜園について書かれたものが多く、それぞれ面白いです。農について書かれた文学作品は探せばあるんだろうけど、プロによるエンタテインメントとしてあまり活字にされてこなかったジャンルなのだろうか。そんなこともないか。農に関する記事が多くの人に読まれることを願いつつ、自分も興味や理解をもっと深めていきたいと思います。