峠を越えると…
秋の空を眺めながら河川敷をマウンテンバイクで走っていると、川から白サギが水を跳ねながら飛び立って、秋のウロコ雲の中に消えて行きました。白サギを遠目に見ながらお自分の取り柄は何だろうと考えているとふと思い出した事がありました。
5年程前のですが、世話になっていた自転車屋さんから勧められたのがキッカケで、SDA王滝という自転車レースに出てみました。長野県、乗鞍岳のふもとの大滝村の山の中をただひたすら走るというレースです。
SDA(Self Recovery Adventure) は略で、トラブルがあっても自分でリカバーしてねと言う意味です。簡単に言えばレース中のケガやトラブルは自己責任ですよという過酷なレースです。
このレースの名前については人によって感じ方は様々だと思いますが、僕にとってはこのレースが本当に冒険になるんだなとワクワクしてきました。
その当時の今頃は、婚活は難航して相手も見つからず、仕事も行き詰まっており、将来の先も見えず、何だかやるせない気持ちを抱えて日々を生きていたので、完走出来なくても良い気晴らしで出場を決めました。
前日午後11時、仕事が終わった夜にボロいジムニーにマウンテンバイクと寝袋とロールマットと背中からホースが出ていてそこから水が飲める、バックを開けて水筒を出す必要がないハイドレーションバックと携帯食を載せて、車も少ない夜の国道を走り出しました。だんだんとジムニーは街路灯もない薄暗い山奥を走っていきました。
現地に着くと車中泊をして睡眠を取り、目が覚めるとカロリーメイトをかじりスタート位置につきます。まだ寒さが残る夜明けの空気の中、集団でいっせいにスタート。トレーニングとかレースのペース配分といった全く準備しておらず、集団から取り残されてしまいました。
気晴らしに出たレースでしたが、今まで眠っていた沸々とみんなに負けたく無いという人間の本能的な部分が大自然の中でよみがえってきてしゃかりきになってペダルを回しました。だがしかし5〜6km続く山道の登りでは徐々にスタミナも失われていき登るスピードが遅くなっていきました。
息を絶え絶え、汗はダラダラで何だかなんでこんな山奥を好き好んで走っているんだろうか自分自身が信じられなくなりました。ただ完走をした後、コーラの甘さと炭酸ののどごしを楽しみたいと言う事しか考えられなくなりました。
コーラ、コーラ、コーラ、頭の中にコーラを注がれ脳はコーラ漬けになったみたいです。
峠の頂上に差し掛かかるど、曲がり空に弧を描くカラマツの枝が見えてきました。そこでは何人かレースの参加者が休んでいました。僕も余りにも疲れたのでカラマツの根元に座りハイドレーションバックから水を飲みました。乾いた喉にはただの水なのにコーラの甘さと喉越しまで感じました。
そして、眼の前には羊雲と赤や黄色に色づいてきた乗鞍岳の山々が見えました。その風景を見ていると、婚活も仕事も何だかどうでも良くなり、ただこの世界には自分が存在していてこの風景を今美しいと感じている事だけが真実だと思えたのです。
結局、なんとかレースコースを完走出来たのですが、下から数えた方が早い順位になりましたが残念な気持ちはありませんでした。
勿論、ゴールした後急いで自販機の前に行きコーラを買いました。その後にコーラのはじける甘さと最高の喉越しを楽しみました。今でもそのコーラの味が忘れられません。
ダラダラと昔の話を語ってしまいましたが、取り柄やアピール出来るところは特に有りません。
敢えて言うならば余り上手には無いのですが、興味のある事を文章に書いて楽しめるところだと思います。あまり上手ではありませんが…
プロフィールにも書きましたがそんな気持ちを込めてnote名を「hummingbird1980」とさせていただきました。
「hummingbird」は、日本語で「ハチドリ」。
小さいものは5cm位の鳥で、花から花へ蜜を求めて羽音を立てて飛んでいきます。僕も日々興味のある事を少しづつ綴っていきたいと思います。
鳥は路地のハトやカラスでも愛おしいので、「ハチドリ」をnoteのアイコンにしてみました。
これからも、自分も皆様も少しでも楽しめる面白い文章を書ける様になりたいです。
最後にコカコーラのリンクを貼らして頂きました。皆さんもお疲れの時に炭酸の喉越しを楽しんで下さいw
#第3回THE_NEW_COOL_NOTER賞_11月参加
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