舞埋マイワールド 第12話
今日も沢山の他人という私の世界が舞い埋もれている。
―夕方―
<小説家君の家>
変人ちゃん(……ふふ、面白いな小説家君が書いたこの小説)読み読み
小説家君(今回の長編小説はいい感じで終わりそうだな)カキカキ
変人ちゃん(……)グー
変人ちゃん(お腹空いたな……夜ご飯どうしよう)
『小説家君、本返しに来たよ』
変人ちゃん「誰かが本返しに来たみたいだね」
小説家君「そうだね。ちょっと席はなれるよ」
変人ちゃん「うん」
『小説家君いないの?』
小説家君「今行きまーす」テクテク
<玄関>
小説家君「はーい」
疑問君「こんばんは小説家君。はい、君が書いた本を返しに来たよ」
小説家君「読んでくれてありがとう。それでどうだった今回の作品?」
疑問君「今回もつまらなかったよ」
小説家君「そ、そうか……」
疑問君「なんで君は毎回つまらない物語りを書くの? 誰かに命令でもされたの?」
小説家君「いや命令されてないし、自分では面白い展開を書いてるつもりだよ」
疑問君「ふーん、じゃあ僕達の感性が相性悪いのかもね」
小説家君「出来れば、そうであって欲しいよ」
変人ちゃん「小説家君」テクテク
疑問君「あっ変人ちゃん」
変人ちゃん「こんばんは、疑問君」
小説家君「それで何の用? 変人ちゃん。もしかして帰るのか?」
変人ちゃん「違うよ。お腹空いたから、一緒に夜ご飯食べるって聞きに来たの?」
小説家君「うん、食べよう」
疑問君「いいな、僕もご一緒していい?」
小説家君「おう」
変人ちゃん「うん」
疑問君「ところで何で変人ちゃんがここにいるの。もしかして二人は同棲してるの?」
小説家君「どうしてそうなる?」
疑問君「じゃあ結婚したの?」
小説家君「してないよ」
疑問君「じゃあ離婚したの?」
小説家君「出来ないよ」
変人ちゃん(なんだか大変そうだな小説家君……よし)
変人ちゃん「ねえねえ疑問君、ペンギン食べたことある?」
疑問君「ないな」
変人ちゃん「私はペンギンまずいと思うけど、疑問君はどう思う?」
疑問君「おいしそうな気がする。小説家君、ペンギンっておいしいの?」
小説家君「俺も食べたことないから知らないよ」
疑問君「へー」
変人ちゃん「ふーん」
小説家君「この会話は一体なんだ?」
今日も沢山の私という他人の世界が舞い埋もれている。