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本日公休

水晶婚式の記念日は平日。
夫と共に有給を取得して、ランチと映画に行きました。

子どもが生まれてからは、二人だけで出かけられるのは、
基本的に会社の健康診断の日と結婚記念日だけ。
せっかく結婚して家族になって、一緒に暮らしているのに
一年に二回しかデートらしいことができないのは切ないけど、
子どもの発熱などの不測の事態に備えて、
有給はできるだけ残しておきたいから、
一緒に有給を取るのは最小限にしています。

結婚記念日は、新婚だった台湾駐在時代を振り返りたくて、
台湾一色にしようと決めていました。
ランチは台湾料理で、映画も台湾映画。
懐かしい味と懐かしい風景に浸ります。

テラス席でシャンパン付きコース@日本橋COREDO 富錦樹台菜香檳(フージンツリー)

日本橋COREDOで特設されていた「本日公休」

レストランの入っていた日本橋COREDO2階を散策していると、
これから観る予定の台湾映画「本日公休」が展示されていました。
放映されていた予告編を何となく見ていて、気づいたら感涙。

「あなたのような常連客と話ができるからこそ
 私もなんとか生きていけるのよ」

この言葉が心に刺さって、思考から抜けなくなりました。

主人公は台湾の田舎の美容師さん。
常連客に電話をかけて予約を取って生活しています。
ある日、恩人の常連客が病に倒れたことを知り、
遠方に出張で散髪に向かいました。
割に合わない出張サービスも厭わない主人公は、
コスパ重視の子ども達にお店について批判されても、
自分の信念を貫きます。

美容師さんと整体師は、施す作業は違うけど、
1対1でお客様に向き合う接客業という点が非常に似ています。
友達よりも定期的にお客様に会うことや、
お客様と個人的な話をすることが多いのも、
共通点ではないでしょうか。

主人公にとって常連さん達とのつながりは生き甲斐であり、
決してコスパで計れるものではないことが、
映画を通じて描かれていました。
資本主義に染まる前の時代を生きている主人公が
とても美しく見えました。

住んでいた頃の台湾は、彼女のように人情に厚い人が多かったけど、
私はそんな台湾人が大好きだったことを思い出しました。
慣れない生活に困っても、いつも手を差し伸べてくれる人がいて
助けられた様々な出来事が思い起こされました。

主人公の常連客との距離感も、コスパ度外視の経営も、
人の営みのあるべき姿のように感じます。
お金にとらわれないで仕事をすることが、
本来の職業のあり方のようにも見えました。

彼女に触発されて、初めて常連客の方に
「そろそろお身体のメンテナンスの時期ですよ」
と自分から連絡してみました。
一ヶ月おきにご来店してくださる年配の常連客の方ですが、
ホットペッパーのWebシステムでの予約が難しいので
個別にLINEを交換していたのです。

自分から予約しませんかと連絡するなんて、
以前の自分だったら考えられなかったけど。
お返事が来て、連絡したことを喜んでいただき、
ご予約いただけました。

今のところコスパ度外視のサロンだけど、
大切な人とのつながりが切れないように
自分から結んでいきたい。

この職業を続けることが自分の生き甲斐になって
いつか割に合うような気がしています。

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過緊張humiko
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