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【国語4 高校前編(知識及び技能)】〜学習指導要領から国語について考えてみた〜
皆様、こんにちは。
東大卒の25歳で教育分野での起業を準備している
佐藤黎司(さとうれいし)と申します。
本日は国語、高校編です。
1回で終わるつもりでしたが、
あまりに内容が多いということで
前後編に分けさせていただきます。
前編では高校国語の目標の部分と、
「知識及び技能」に関する記載を取り上げます。
はじめに 高校時における全体的な目標
高校においては予測困難で複雑な社会を前提に
義務教育段階での到達点を引き継ぎ,
論理的思考力,相互に交流する力,
情報の適切な判断力といった
実社会で求められる言語能力の育成に主眼を
おいた国語教育を目指していると言えます。
小学校及び中学校国語科と密接に関連し,
その内容を発展させ,総合的な言語能力を
育成する科目として,言語活動の充実に資する
国語の資質・能力,社会人として生活するために
必要な国語の資質・能力の基礎を確実に
身に付けることをねらいとしています。
知識基盤社会の到来,地球規模の難問の数々,AI(人工知能)に象徴される情報科学 の発達など,これからの社会はこれまでの常識や判断では対処しきれないものとなること が予想される。
このような予測困難で複雑な社会に主体的に関わり,他者と協働して課題 を解決したり,様々な情報を見極め,知識の再構成を行い,新たな価値を生み出したりす る資質・能力の育成は喫緊の課題となっている。
こうした資質・能力の育成のためには, 言語能力が重要な役割を果たすことは言うまでもなく,国語科に求められる責務は大きい。
義務教育段階での到達点を引き継ぎ,社会との接点がより近くなる高等学校段階では, 論理的思考力,相互に交流する力,情報の適切な判断力といった実社会で求められる言語 能力の育成に主眼をおいた国語教育が一層求められている。
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・ 能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)実社会に必要な国語の知識や技能を身に付けるようにする。
(2)論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばし,他者との関わりの中で伝え 合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3)言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を向上させ,我が国 の言語文化の担い手としての自覚をもち,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
知識及び技能
第1 現代の国語
言葉は認識と思考の支えとなるものであるとし、
より専門的なスキルの習得が
高校においては目標とされます。
例えば以下のような内容への言及があります。
話し言葉は聞き手の反応やその場の状況に
強く影響され、即時的にコミュニケーションを
成立させる役割があります。
一方、書き言葉は書き手が十分に考え
推敲することで作成され、
読み手が必要なときに読み返すことができます。
このため、書き言葉には整理された情報を
正確で説得力のある表現にする役割があります。
効果的なコミュニケーションを行うために、
正確さ、分かりやすさ、適切さ、敬意と親しさに
配慮した言葉遣いと、相手や状況に応じて
最も適切な言い回しを選ぶことが求められます。
推論には、演繹的推論と帰納・仮説形成のような
非演繹的推論があり、これを理解することで
様々な状況で考えや立場を明確に
できるようになります。
現代社会では情報の妥当性や信頼性を
吟味することが重要です。
様々な情報を収集し、真偽や事実誤認の有無を
吟味し、情報を相互に関係付けながら
信頼できる妥当な情報を見極める力が
求められます。
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,認識や思考を支える働きがあることを理解すること。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴や役割,表現の特色を踏まえ,正確さ,分かりやすさ,適切さ,敬意と親しさなどに配慮した表現や言葉遣いについて理解し,使うこと。
ウ 常用漢字の読みに慣れ,主な常用漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
エ 実社会において理解したり表現したりするために必要な語句の量を増すとともに,語句や語彙の 構造や特色,用法及び表記の仕方などを理解し,話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語 彙を豊かにすること。
オ 文,話,文章の効果的な組立て方や接続の仕方について理解すること。 カ 比喩,例示,言い換えなどの修辞や,直接的な述べ方や婉曲的な述べ方について理解し使うこと。
(2) 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 主張と論拠など情報と情報との関係について理解すること。
イ 個別の情報と一般化された情報との関係について理解すること。
ウ 推論の仕方を理解し使うこと。
エ 情報の妥当性や信頼性の吟味の仕方について理解を深め使うこと。
オ 引用の仕方や出典の示し方,それらの必要性について理解を深め使うこと。
(3)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 実社会との関わりを考えるための読書の意義と効用について理解を深めること。
第2 言語文化
先人の文化を受け入れ、その価値を
後世に伝えることを目標としています。
言葉はこれらの過程で重要な役割を果たし、
文化遺産として受け継がれます。
その中で、日本の言語文化に特徴的な語句を
増やし、その文化的背景について理解を
深めることを推奨しています。
言語文化とは、日本の歴史の中で培われた
高価値の言語や言語生活、言語芸術を指し、
特定言語文化特有の語句の意味や用法だけでなくその背景にある文化的価値を理解することが
重要であると解説で記載されています。
具体的なものとして、本歌取りや見立てへの
言及がなされています。
これらの技法は和歌に限らず、
評論や物語にも使用されます。
これらの表現技法を実際に使い、
その効果を体験することが重要です。
現代のグローバル化の中で、
日本の言語文化の独自性と価値を認識し、
外国文化との関係を理解する重要性が
示されています。
日本の言語文化理解の観点から、
生徒がこれらを理解するために、
古典や近代以降の文章を読み、それぞれの
時代や社会の姿を知ることを求めています。
古文や漢文の学習を通じて、
中国文化との関係に気付くこと、
さらに、南蛮渡来や近代以降の西洋文化も
日本の言語文化に影響を与え、
特に明治初期には西洋の新しい概念が
漢語で表現されたことにも言及があります。
古典の世界に親しむためには、
作品や文章の歴史的・文化的背景を
理解することが重要です。
作品の背景を理解することで、
古典の持つ深い意味や価値が明らかになります。
古典の世界に親しむためには、文語のきまりや
訓読のきまり、古典特有の表現を理解することが
重要ですが、知識の理解に終始せず、
古典の世界に親しむことを重視されています。
時間の経過や地域の文化的特徴による文字や
言葉の変化について理解を深めることの
重要性が述べられています。
古典の言葉と現代の言葉のつながりを
理解することが重要であり、
ことわざや故事成語が例として挙がります。
古典の言葉を現代に生きるものとして捉え、
言語文化への関心を広げることが大切にされ、
これにより、言語文化を継承し、
発展させる意識を持つことが求められています。
(1)言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,文化の継承,発展,創造を支える働きがあることを理解すること。
イ 常用漢字の読みに慣れ,主な常用漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
ウ 我が国の言語文化に特徴的な語句の量を増し,それらの文化的背景について理解を深め,文章の 中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 文章の意味は,文脈の中で形成されることを理解すること。
オ 本歌取りや見立てなどの我が国の言語文化に特徴的な表現の技法とその効果について理解するこ と。
(2)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。 ア 我が国の言語文化の特質や我が国の文化と外国の文化との関係について理解すること。
イ 古典の世界に親しむために,作品や文章の歴史的・文化的背景などを理解すること。
ウ 古典の世界に親しむために,古典を読むために必要な文語のきまりや訓読のきまり,古典特有の 表現などについて理解すること。
エ 時間の経過や地域の文化的特徴などによる文字や言葉の変化について理解を深め,古典の言葉と 現代の言葉とのつながりについて理解すること。
オ 言文一致体や和漢混交文など歴史的な文体の変化について理解を深めること。
カ 我が国の言語文化への理解につながる読書の意義と効用について理解を深めること。
第3 論理国語
言葉の働きを理解し、日常的に使う言葉の
仕組みや役割を知る重要性を示しています。
言葉をより適切に用いるために、
その働きを理解することが求められています。
具体的には以下のような内容への
言及があります。
事象を説明する文章や意見を述べる文章、
特に客観的な内容を示す文章や論証のための
文章において、効果的な構成や接続の仕方を
理解することの重要性を述べています。
論証や客観的内容を示す文章における段落構造や
文章の構成・展開の仕方についての理解を
深めることの重要性が述べられています。
主張と前提、反証などの情報間の関係を理解し、
「隠された前提」を検討する力を養う重要性を
示しています。
(1)言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,言葉そのものを認識したり説明したりすることを可能にする働きがあることを理解す ること。
イ 論証したり学術的な学習の基礎を学んだりするために必要な語句の量を増し,文章の中で使うこ とを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
ウ 文や文章の効果的な組立て方や接続の仕方について理解を深めること。
エ 文章の種類に基づく効果的な段落の構造や論の形式など,文章の構成や展開の仕方について理解 を深めること。
(2)文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 主張とその前提や反証など情報と情報との関係について理解を深めること。
イ 情報を重要度や抽象度などによって階層化して整理する方法について理解を深め使うこと。
ウ 推論の仕方について理解を深め使うこと。
(3)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 新たな考えの構築に資する読書の意義と効用について理解を深めること。
第4 文学国語
言葉は想像力と心情を豊かにする働きを
持つことが示されています。
これにより、直接経験していない状況でも、
表現から想像を広げることができます。
また、具体的な感情表現を使わずに
心情を表すことも可能であり、
言葉の効果に触れることで心情を豊かにします。
そなために、文章の中で情景の豊かさや
心情の機微を表す語句の量を増やし、
使うことによって語感を磨き、
語彙を豊かにすることが重要です。
読者が文章の一場面を奥行きとともに捉え、
人物の心の微妙な動きや変化を実感をもって
理解できるような表現が求められます。
文学的な文章を読むことで、日本の言語文化の
特質を理解する重要性が示されています。
日本の言語文化の特質は、古典や外国文化を
取り入れて形成された独自の性格や価値を
指します。
また、文学的な文章を読むことで、
人間、社会、自然に対するものの見方、
感じ方、考え方が豊かになる意義と効用について
述べています。
書き手の意図を理解し、共感や疑問、思索を通じ
文章を味わうことが求められています。
(1)言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,想像や心情を豊かにする働きがあることを理解すること。
イ 情景の豊かさや心情の機微を表す語句の量を増し,文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
ウ 文学的な文章やそれに関する文章の種類や特徴などについて理解を深めること。
エ 文学的な文章における文体の特徴や修辞などの表現の技法について,体系的に理解し使うこと。
(2)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文学的な文章を読むことを通して,我が国の言語文化の特質について理解を深めること。
イ 人間,社会,自然などに対するものの見方,感じ方,考え方を豊かにする読書の意義と効用について理解を深めること。
第5 国語表現
言葉には、互いの立場や考えを尊重し合い、
自己と他者の相互理解を深める働きがあり、
そのために言語能力の向上を目指します。
自分の思いや考えを相手に伝えるためには、
多彩な表現が必要です。
相手との関係や状況に応じて、
具体的な語句や慣用表現を使います。
思考の過程を適切に表現するための
語句の理解も重要です。
話や文章で多彩な語句を使い経験を重ね、
表現力を向上させることが求められています。
(1)言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,自己と他者の相互理解を深める働きがあることを理解すること。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴や役割,表現の特色について理解を深め,伝え合う目的や場面,相手, 手段に応じた適切な表現や言葉遣いを理解し,使い分けること。
ウ 自分の思いや考えを多彩に表現するために必要な語句の量を増し,話や文章の中で使うことを通 して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 実用的な文章などの種類や特徴,構成や展開の仕方などについて理解を深めること。
オ 省略や反復などの表現の技法について理解を深め使うこと。
(2)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 自分の思いや考えを伝える際の言語表現を豊かにする読書の意義と効用について理解を深めるこ と。
おわりに
いかがでしたか?
高校編で求めることは、かなり高度でしたが、
コミュニケーションツールとしての役割に加え、
思考を行う際のツール、文化や歴史を
理解するためのツールとしての
多様な役割を感じることができました。
後編もよろしければぜひ!
それでは、また👋