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「OKR」とは?社員のやる気を上げるのも下げるのもOKR次第

私は経営コンサルタントの新米秘書です。
社長の側にいて学んだことを備忘録として発信していきます!

今回は「OKR」について共有します。
みなさんの会社はどんな風に、目標を立て、管理し、運用していますか?
最近、お客様の企業課題をヒアリングしていくと「OKRを導入しているが、うまく運用できない…」といった声を非常に多く耳にします。

私自身、正しくOKRの仕組みを理解していない新卒1、2年目のころ、「OKR」=「急にマネージャーから課せられる高い目標」というイメージでした。現場の社員目線だと、正直通常業務で精一杯の中、OKRに対しては所有感がなくどちらかというとネガティブに捉えていました。しかし、経営コンサルタントの仕事に関わる中で、適切に運用すれば組織にとって従業員のエンゲージメントを上げる武器でもあることを学びました。

今回は、「OKR」がどんなものなのかを社会人3年目の私が理解していることをアウトプットしてみます。


OKRの基本概念

OKR(Objectives and Key Results)は、企業や個人が目標を達成するためのシンプルで強力なツールです。簡単に言うと、OKRは「目標(Objectives)」と「主要な成果(Key Results)」を設定して、みんなが同じゴールに向かって努力できるようにする仕組みです。OKRはGoogleやIntelなどの企業で導入され、特に注目を集めています​​。

Objective(目標)

Objectiveは、「何を達成したいのか」という目標です。たとえば、「売上を前年比20%増加させる」や「今後3年間で製造経費を5%削減する」といったものです。このObjectiveが組織でしっかりと定められ現場とも共通認識が取れていれば、甲子園を目指す野球チームのように一丸となりその目標に向けて進むことができます。しかし、目指すObjectiveが明確か、みんなが目指したいと思えるものかなど、このObjectiveの設定に苦戦することが多いのも特徴で、多くの企業がこのObjectiveを適切に定めることができていません。

Key Results(主要な成果)

Key Resultsは、その目標をどうやって達成するかを示す具体的な成果です。たとえば、「売上を前年比20%増加させる」というObjective(目標)に対するKR(必要成果)は「新規顧客を100人獲得する」や「ウェブサイトの訪問者数を月間30,000人に増やす」といった具合です。これにより、目標達成の進捗を測ることができます​。

会社全体のOKRから個人のOKRに落ちてくるまで

OKRの特徴の一つは、企業全体の目標がチームや個人にまで浸透することです。まず、企業全体のObjectiveを設定します。このObjectiveは、会社全体で達成したい大きな目標です。次に、この企業全体のObjectiveを基に、各チームが自分たちのObjectiveを設定します。最後に、個人ごとにObjectiveが設定され、具体的なKey Resultsが決まります。このプロセスを通じて、企業の目標と個々の目標が一貫性を持つようになります。例えば下記のように、Objectiveが会社、チーム、担当者(個人)というようにどんどん現場レベルに落ちていくイメージです。
会社のObjective(目標): 売上を前年比20%増加させる
マーケティングチームのObjective(目標): 新規顧客獲得数を増加させる
マーケティング担当者AのObjectiveObjective(目標): ソーシャルメディア広告の効果を最大化する

OKRを導入するメリット

組織の透明性が向上する
OKRを導入すると、会社全体で目標が共有され、透明性が高まります。全員が同じ方向に向かって努力することで、無駄が減り、一体感が生まれます​。

プロセスや方向性のズレがなくなる
ときどき企業、チーム、個人の目標が一貫しているので、効率的に目標を達成することができます。これにより、全員が同じ目的に向かって協力することが可能になります​ 。

成果の向上と継続的な改善
OKRは高い目標を設定し、その達成に向けた挑戦を通じて成長と改善を促進します。目標達成率が60-70%程度であることが推奨されており、これにより継続的な改善が促進されます。また、Objectiveの内容のレベル設定はムーンショットルーフショットの2種類があります。高い目標はムーンショットと呼ばれ、ストレッチだけれど達成できる可能性も十分にある目標に向かって挑戦することを指します。例えば、「5年間で売上を10倍にする」といった大胆な目標です。一方、低めの目標であるルーフショットは現実的で達成可能な目標を設定します。短期的な成果を上げつつ、長期的な成長を目指すことができます​ ​。

MBO,OKRとの違い

OKR(Objectives and Key Results)、MBO(Management by Objectives)、KPI(Key Performance Indicators)は、いずれも目標管理の手法ですが、それぞれ異なる特徴と用途があります。以下にそれぞれの違いを説明します。

OKR(Objectives and Key Results)

OKRは、企業やチーム、個人の目標を設定し、その達成度を具体的な成果(Key Results)で測定する手法です。OKRの特徴は、野心的な目標を設定し、挑戦することで成長とイノベーションを促進する点にあります。目標は一般的に短期間(四半期ごと)で設定され、定期的なチェックインやフィードバックセッションを通じて進捗が確認されます。OKRは透明性が高く、全員が同じ方向に向かって努力できるように設計されています​。

MBO(Management by Objectives)

MBOは、上司と部下が協力して目標を設定し、その達成度を評価します。目標は個人ごとに設定され、達成度に基づいて評価や報酬が決定されます。MBOの特徴は、個人の自主性を尊重し、具体的な成果に基づいて評価する点にあります。ただし、MBOは長期間(年間)で目標が設定されることが多く、柔軟性に欠ける場合があります。

KPI(Key Performance Indicators)

KPIは、組織の目標を達成するための重要な指標を設定し、その進捗を定量的に測定する手法です。KPIは特定の業務プロセスやプロジェクトの進行状況を把握するために使用され、定量的な目標が設定されます。KPIは通常、特定の目標達成率や数値を追跡し、進捗を評価します。KPIは目標達成に向けた具体的な行動計画をサポートするために使用されますが、目標が保守的になりがちで、挑戦的な目標設定が難しい場合があります​ .

OKRを成功するためのポイント

個人やチームに適したObjectiveの設定

  • OKRの導入時に直面するのが、目標設定が高すぎて「OKRが達成できないもの」としてObjectiveに対する熱量がなく未達成が当たりまえになってしまう、という課題です。Objectiveのレベルが個人やチームに合っていないとOKRを導入しただけで誰も本気で追っていない形骸化状態に陥ります。適切なステップでOKRを設定し、それを経営層から現場レベルに浸透させる必要があります。Objectiveの設定には2種類あり、高い目標はムーンショットと呼ばれ、ストレッチだけれど達成できる可能性も十分にある目標に向かって挑戦することを指します。例えば、「5年間で売上を10倍にする」といった大胆な目標です。一方、低めの目標であるルーフショットは現実的で達成可能な目標を設定します。短期的な成果を上げつつ、長期的な成長を目指すことができます​ ​。このストレッチ度合いの塩梅は定期的な上司とのすり合わせによって調整しながら進める必要があります。

フィードバックと振り返りの機会

OKRを運用していくためにはに挑戦したプロセスを定期的に本人が振り返り、上司はそれをフィードバックしていかないといけません。それを週の初めの「チェックイン」と週末の「ウィンセッション」で固定で行うことによって、頻繁にOKRを見直しチーム組織との一貫性や、本人とのマッチ度合いを調節することができます。チェックインは定期的な進捗確認のミーティングで、目標に対する進捗状況を確認し、必要な調整を行います。ウィンセッションは、達成した成果を振り返り、成功を祝うためのミーティングです。これにより、チーム全体のモチベーションを高め、次の目標に向けての意欲を引き出します​。

まとめ

今回は、私が学んだOKRについての知識をアウトプットしました。OKRは、企業文化や業績向上に大きく寄与する手法として、今後ますます導入が進むと考えられます。特に経営者目線から見ても、OKRは戦略的な組織全体として目指すべき目標の達成をサポートし、企業全体の一体感を高めるための強力なツールです。
しかし、OKRを導入しサステナブルに回すことができる企業が日本でもわずかであるのが現状です。「OKRを上手く回せない」という組織の問題には自ら高い目標を設定し、その挑戦的な目標に向かって試行錯誤できない正解主義の日本文化、仕事をライスワークとしてこなしているというところに起因してくるのだと思いました。





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